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まえがき

先端研という研究所でエレクトロニクスの研究をしていた私は、典型的な 理工系の教官で、貸借対照表のようないわゆる財務諸表のようなものには 滅多にお目にかかることがない。 ごく稀に学会や財団などの年次報告で見ることはあっても、分らなくても 支障がなく、無視をしていた。 しかし、当研究所は文理融合の研究所であり、その結果、やがて関連する会社が 開業され、その財務諸表に目を通さざるを得なくなった。

ところが、そこに使われている複式簿記というのがよく分らないのである。 一生懸命格闘したが、貸方と書いてある欄の方に負債が書いてあったり、 表によっては儲かると借方が増える場合と貸方が増える場合があったり、また 資本というよく分らない概念があったりで、今一つ納得できない。 そんなことで、苦労していたら、文系の先生から貸借対照表について、二つの ヒントを戴いた。 一つは借方、貸方といった欄の名称は気にしないこと、もう一つは他人資本と 自己資本という概念である。

この二つの概念が分ったら、財務諸表が少しずつ読めるようになってきた。 そこで一挙に勉強したところ、複式簿記のいうのが極めて合理的に 構成されており、むしろその合理性から、理工系の人間であることが、理解を 早めこそすれ、不利にはならないことが理解できた。

その成果を、自分の電子メモとしてまとめていたが、自分だけの 知識としないで、特に、同じように苦しむであろう人に少しでも役立てばと Web に公開したところ、公開後半年以内で、Google の「複式簿記」で トップランキングされるようになっていた。 これが本書出版に至った経緯である。

しがたって、本書を一言で言えば、素人がわからないところをとことんまで 理詰めで理解した結果をまとめたものである。 分りにくさを排除するために、多少の補助的手段を駆使して、正しい理解を 得るよう最大限の努力をした積りである。 ぜひ、一読いただきご批判を仰ぎたい。

なお、本書ではキャッシュフロー計算書についても述べているが、 これについては仕訳帳の部分セットであるという新しい立場で記載し、 なるべく容易に理解できるように工夫を凝らした積りである。

著者

2000年4月1日:  起草
2000年4月23日: Perl による財務諸表作成プログラム作成
2000年4月26日: 借方、貸方、資本に関するヒントを貰う
2000年7月17日: TeX + perl 化、および章の分割
2001年5月27日: キャッシュフロー計算書の章の新設
2001年5月31日: 為替調整、連結決算の章の新設
2002年1月17日: Web で公開開始
2002年4月20日: 計算機処理、Perl の章の新設
2002年5月5日:  google で「複式簿記」の第1位にランキング
2002年7月20日: 独立行政法人会計の章の新設
2003年4月28日: キャッシュフロー計算書の章の改訂 (総勘定フロー試算表の概念導入)
2003年5月15日: 独立行政法人会計の章の改訂 (実例の追加、国立大学法人会計)
2003年10月27日: 新会計制度の章の追加 (時価評価、退職給与引当金、税効果会計)
2003年12月22日: キャッシュフロー計算書の章の改訂(財務経営的視点からの記述)
2004年12月10日: 基礎編を「素人の書いた複式簿記」として出版
2006年1月13日: 資本の純資産への読み換え
2006年4月10日: 貸借対照表を現金出納帳の繰越金の概念で説明
2006年7月15日: 役員賞与の扱いの変更
2008年4月20日: 前編は新会計基準に合せ、全面改訂


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Yoichi OKABE 平成20年5月17日