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: 期首の貸借対照表 : 基礎 : 貸借対照表と損益計算書   目次   索引


財務諸表の作成の実際

簿記をつける最大の目的は、財産移動を日々記録して、一定の会計期間の 財産移動とその結果としての財産の現状を掴むことである。 財産の蓄積状況をストック(stock)と呼び、財産の変動状況を フロー(flow)と呼ぶ。 一般には、フローが起るたびにストックが変化することになるが、その 都度一々計算するのは大変であるので、会計計算には会計年度とか 会計期間とかいった一年や半年や四半期の会計の締切の周期を設け、その 終了時にその直前の会計期間のフローの状況を集計し、財産のストックを 計算する。

期首ストック + 当期フロー = 期末ストック

対象とする会計期間を当期(current period, current(adj.))、その始まりを期首(beginning of period, initial(adj.))、 その終りを期末(end of period, final(adj.))という。 また、前の会計期間を前期(preceding period)、後の会計期間を次期(next period)と言う。 まず、日々の財産移動の記録を集めることで当期のフローが得られる。 これを期首 (前期の期末) のストックに加え、 現財産と比較することで決算が終了し、当期の期末 (次期の期首) のストックが確定する。

ストックを書いたものを貸借対照表(balance sheet, B/S)と言う。 フローを書いたものを仕訳帳(journal)と言う。 現金出納帳と比較すると、期首の実在勘定のストックとは、 前期繰越金に対応する。 財産が現金だけであると、前期の繰越は一行で書けるが、 すべての財産となると一つの表で表わすしかない。 これが貸借対照表である。 期末の実在勘定のストックも、期末におけるすべての財産のリストであるので、 貸借対照表という形で表現するのである。

財産のリストであれば、総財産の量が知りたくなる。 正の財産である資産と負の財産である負債の差である総財産を、 複式簿記の世界では、純資産(net assets)と呼ぶ。 したがって *純資産は *当期利益の集積結果であるとも言える。 なお、2006年4月までは資本(capital)と呼んでいたが、 純資産の方が意味が明白であろう。

現金出納帳でも一ヶ月の収入や支出を項目ごとにまとめることがある。 例えば一ヶ月の食費はいくらか、 一ヶ月の小遣い収入はいくらかといった表であるが、 これが複式簿記では損益計算書と呼ばれる表である。 つまり、貸借対照表は実在勘定から作成でき、 損益計算書は名目勘定から作成できるのである。 この意味で、実在勘定科目をBS 科目(BS title)、 名目勘定科目をPL 科目(PL title)と呼ぶことがある。 これら二つの重要な表や、以後の章で説明するキャッシュフロー計算書などを、 まとめて財務諸表(financial statements)と呼ぶ。

この作業の基本データとしては、期首のストックを記載した貸借対照表と、 当期の財産のフローを記した仕訳帳である。 これを期末に加工して、当期の損益計算書、および期末の貸借対照表、 さらに必要に応じ、当期のキャッシュフロー計算書、 といった財務諸表を作成する。 現金出納帳で言えば、前期繰越金が期首の貸借対照表、日々の記帳が仕訳帳に、 次期繰越金が期末の貸借対照表に対応する。

そのやり方には大きく分けて二つの方法がある。 第一の方法は、フローの集計に重きを置いた比較的新しい方法で、 期末に仕訳帳をまとめたフロー試算表を作成し、 それを期首のデータに加算して、財務諸表を作成するという方法であり、 特にキャッシュフローの計算との連携が容易となる。 第二の方法はストックの集計に重きを置いたやや伝統的な手法であり、 勘定科目ごとに、 期首の残高に続けて日々の仕訳のデータを繋いで残高を計算し、 それを期末に財務諸表に転記するという方法である。 この残高の計算書全体を総勘定元帳と呼ぶ。

計算機の能力が高くなってきた現在では、いずれにせよ 大差はなくなってきているが、本章では、 まず概念説明に便利なフロー試算表を基本とする手法を紹介し、 続いて伝統的な総勘定元帳を基本とする手法について、言及する。




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Yoichi OKABE 平成20年5月17日