基本的には、前期の繰越、つまり前期の貸借対照表を、 今期の期首貸借対照表とすればよいのであるが、 その仕掛けを理解するために、 会社創業の際の期首の貸借対照表について説明する。
事業(business)を創業(establishment)するときには、 まず、事業に必要な資金を用意する。 これには、自分が拠出したり、他人から借入金(debt)を借りたりする。 個人経営の会社などでは、 純粋に個人から出した自己資金で事業を創業することが多い。 これを元入金(capital)と呼ぶが、簿記上は資本金(capital stock)と呼ぶ。
この場合、複式簿記を明解に理解するには、 個人と会社の立場をきちんと分けて公私混同しないようにすることが必要である。 会社はあくまでも別の人 (法人) であると理解すべきである。 元入金は個人から見れば費用として財産を失なっているし、 会社から見れば収益として無償の財産を得たのである。 もし、会社に無料でやってしまうのが厭ならば、 個人からは貸付金、会社からは借入金の形でスタートするか、 後に述べるように、 きちんとした形で元入金や資本金の回収の方法で行うべきである。
また、株式会社では株主(stock holder)から集めた資金である株(stock)によって 事業を創業する。 これは純粋に資本金(capital stock)と呼ばれる。 一見、負債のように見えるが、資本金とは、 自分側の仲間である株主から調達した資金なのである。 したがって破産などの場合、 借入金などの債務については返済義務があるのに対し、 資本金には返済義務は生じない。 つまりこれも自己資金なのである。
株式会社が大きくなると、賛同者を広く公開して資本金を集めるようになる。 これを上場するといい、株券(stock certificate)を発行する。これも自己資金である。 このような自己資金はすべて事業を始める元手なので、資本金と呼ぶのである。 逆の立場で、事業にとって必要な資本金を出すことを出資(investment)という。
これら資本金による資金に加えて負債による資金を加え、普通預金、 当座預金などを開いたり、備品を購入したりして、事業に備えるのである。 現金(cash)、預金(deposit)、備品(equipments)などは、 すべて事業のための正の財産(positive property)であり資産(assets)と呼ぶ。 これから負の財産(negative property)である負債(liability)を引いた正味財産(net property)を、 純資産(net assets)と呼ぶ。
| 純資産=資産-負債 |
通常、自分側も元金を供出しているので、資産は負債を上回る。 なお、資産を特に純資産と区別したいときには、 総資産(gross assets)と呼ぶこともある。
創業時には、純資産は資本金に一致する。 このため、純資産を資本(capital)とも呼ぶこともある。 また、平衡残高であることを意識して という英語を使うこともある。 特に、2006年3月までの会計法では、純資産の替りに資本と呼んでいたので、 古い財務諸表を見るさいには注意して欲しい。