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日々の記録をつける

財産の移動を伴なう事象を取引(transaction)という。 明らかに生活用語として使われる取引とは異なる定義であり、預金を下して現金化することも、預金という財産が減少して現金という財産が増加するので、会計の世界では立派な取引である。 日々の取引を毎回、左右の平衡がとれるように記帳することを仕訳(journalization)と言い、仕訳した記録を、仕訳帳(journal)という。 つまり財産のフローを取引ごとに表したものである。

仕訳帳の一例を次節に示す。複式簿記の本質は真中の表部分だけであるが、実用上、日付(date)摘要(outline)は明らかに必要である。 また、実際の仕訳帳には取引先(client)も記載することが多い。 さらに本表では、現金出納帳との連続性を考慮して、参考として現金と預金の残高(remainder)も併記した。

この表でも、欄区切線の左の欄が財産の増加を示す。 また、右の欄が財産の減少を示す。 仕訳帳も一種の複式簿記であるから、左を「借方」、右を「貸方」と言う。 また、「平衡」という概念が常に維持されるように記入されている。

勘定科目(account title)は事業の規模等に合せ、適当にまとめたり分解したりすることができる。 ここで示したものは比較的標準的なものであるが、例えば、「現金」と「預金」をまとめて、「現金と預金」という勘定科目とする場合もある。 逆に !費用や !収益をもっと細く分ける場合もある。 収益や費用に関する勘定科目は、課税対象になるものや、ならないものがあるため、それを意識して区分することが多い。 要するに、判り易く便利なように区分すればよい。 もちろん、実在科目と名目科目の混在は許されていない。 本書でも、説明の都合で色々使い分けているが、なるべく多くの書に見られる勘定科目名になるよう努力している。

メモ: 伝票処理

仕訳帳の代わりに振替伝票(transfer slip)を用いる場合もある。 これは、取引一件当りの仕訳を一枚の紙に記載するもので、ここに示した仕訳帳から残高欄をとったものの一行分 (取引によっては数行分) に対応すると考えてよい。 これを全部集めたものが仕訳帳を構成することになる。 また、現金の出入りに関係する取引が多いことから、現金の絡む取引に対しては、入金伝票(income slip)出金伝票(expenditure slip)を用意することもある。 入金伝票は左借方が常に現金であるので、これを省略し、右貸方の勘定科目だけを記載し、通常、赤印刷紙を用いる。 一方、出金伝票は右貸方が常に現金であるので、左借方のみ記載し、通常、青印刷紙あるいは黒印刷紙を用いる。 振替伝票は黒印刷紙を用いる。


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OKABE Yoichi 平成22年5月17日