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報告式の損益計算書

複式簿記では、仕訳帳の各行の左右は必ず平衡するように数値を記入する。 こうした複式簿記の標準的な表記法を、現金出納簿のような残高式(remainder style)に対し、勘定式(account style)と言う。 多くの場合、これまでの各表に示したように、左右には同じ数値を記入するが、この数値の二重化を避けるために、今までに示した並列式(parallel style)の勘定式表記以外に、表2.13に示すような直列式(serial style)の勘定式表記もよく使う。 つまり、右に示した科目から、右端に示した額が、左の科目へ移動したと読めばよい。 なお、借方勘定科目、金額、貸方勘定科目の順に記載する方法も利用されている。

図 2.13: 直列式表記の仕訳帳
\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{rlllrrr}
\hline
\hline
日付&摘要 &\...
...ts &\dots &\dots &\dots &\dots \\
\hline
\hline
\end{tabular}
\end{figure}

並列式では左右の額を異って記載してしまうという誤りを起しやすいが、直列式にはそれがないという特長がある。 一方で、フロー試算表、!損益計算書、貸借対照表などのまとめの表では、計算機では楽にできる左右の合計が人間にとっては視認性が悪く結構面倒であるという欠点がある。 例として直列式のフロー試算表を表2.14に示しておこう。

図 2.14: 直列式表記のフロー試算表
\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{rllrr}
\hline
\hline
&\multicolumn{...
...0 \\
2920 & &借入金 &200 &2920\\
\hline
\hline
\end{tabular}
\end{figure}

複式簿記では、ある帳簿から別の帳簿へ転記するという作業が多くなるが、人間が転記する場合には、視認性が高い並列式の方が楽である。 逆に、計算機処理には、各行に一つの数値しか記載されていない直列式の方が適している。 本書では、原則として、一般書に多く見られる並列式の表記を用いる。

並列式と直列式を併せて勘定式というが、その説明の前に、現金出納帳と同じ形式の残高式(remainder style)を示そう。 これは順に残高(remainder)を計算していくものである。 詳細については表2.15を見て欲しい。

図 2.15: 残高式表記の 損益計算書
\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{rlrrrr}
\hline
\hline
&\multicolumn...
...{2-5}
&!*当期利益 &236 & &236 \\
\hline
\hline
\end{tabular}
\end{figure}

商法では損益計算書について報告式(report style)を薦めている。 これは残高式(remainder style)と同じ計算を、直列に記載したものであり、左に各分類の明細を、右に分類ごとの計を書く。 詳細については表2.16を見て欲しい。

図 2.16: 報告式表記の 損益計算書
\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{rlrr}
\hline
\hline
&\multicolumn{3...
...\cline{2-4}
&!*当期利益 & &236 \\
\hline
\hline
\end{tabular}
\end{figure}
v

この表で、最右端で引き算となる部分には符号を付したが、通常は正数で示される。 そのため、どれが正の項目で、どれが負の項目かが判断できないと簡単には読めず、必ずしも読み易い形式とは言えない。

複式簿記の形式に慣れてしまうと、貸借対照表と同様な勘定式の方が読み易いと思うのだが、不思議な習慣である。


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OKABE Yoichi 平成22年5月17日