まず最初に、発生主義会計の対象となるのは、取引発生(accrual, accrued (adj.))時点と現金等による決済(settlement)時点が異なる取引であり、前章に述べた取引は、通常、一取引一仕訳であったが、ここでは最低、一取引二仕訳となる。 これにはこの二つのタイミングの前後関係から二種類がある。
まず、掛買(accrued buy)や掛売(accrued sell)などのように、「未収の取引 (掛売など)」や「未払の取引 (掛買など)」が先行し「現金受領」や「現金支払」決済が後から追従するもので、見越勘定(accrued accounts)と呼ばれる。 日本語の意味は「(現金移動を)見越す」であり、英語のaccrueは「結果として(現金移動が)生じる」の意味である。
逆に「前払」や「前受」のように、「将来の取引に対する支払 (前払など)」や「将来の取引に対する受領 (前受など)」などの現金等の決済が先行し取引が後から追従するもので、繰延勘定(deferred accounts)と呼ばれる。 日本語の意味は「(取引を)繰り延べる」であり、英語のdeferは「(取引が)延期される」の意味である。
見越も繰延も、何かが時間的に遅れることを意味しているため、言葉の意味が分りづらいかも知れない。 実際、deferred paymentは前払いではなく、延べ払い、つまり代金後払いであるので、極めて分りづらい。 言葉をそのまま覚えてもらうしかないだろう。 しかし、これらの用語が分けて使われるのは比較的稀なので、覚えなくてもよいかも知れない。 税金の前払いを意味する、後に現われる繰延税金資産は、この用語を用いる珍しい例であろう。
これら発生主義の勘定はまとめて経過勘定(deferred and accrued accounts)とも呼ばれる。 取引の時点と、現金等による決済の時点の時間差は、未収収益、未払費用、前払金、前受金といった経過勘定科目(deffered and accrued account item)でつなぐ。 これらは会計期間を越えてよいストック財であり、実在勘定とする。
| 発生勘定科目 |
| 見越勘定: 事前の取引発生と事後の現金移動の間を繋ぐ |
| 繰延勘定: 事前の現金移動と事後の取引発生の間を繋ぐ |
なお、取引の発生とは、実際に財産の変化が起ることである。 約束や契約の時点ではなく、実際に備品や商品が出入りした時点が 原則であることを理解して欲しい。