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間接法によるキャッシュフロー計算書

間接法によるキャッシュフロー計算書の作成法を説明しよう。 まずフロー試算表を税引前と以後で分離する。 わたりの当期純利益に関する部分は削除してある。

\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{rlr\vert lrr}
\hline
\hline
&\multi...
...30 &!*税引前利益 &1080 & & &3130 \\
\hline
\hline
\end{tabular} \end{figure}

図 5.28: 税引前と以後を分離したフロー試算表
\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{rlr\vert lrr}
\hline
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&\multi...
...5 & & &*繰越利益剰余金&516 &955 \\
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\hline
\end{tabular}
\end{figure}

まず、この税引以後のフロー試算表から、キャッシュフロー計算書の小計以後に現われるすべての名目勘定を拾い出して、それと関連のある実在勘定と組み合せて、グループを作る。 各グループの実在勘定と名目勘定の差額がキャッシュ性の名目勘定 !c...となるはずである。 しかし、これを総額表示したいので、仕訳帳に戻って !c...の具体的内容を調査する。 その結果を次表に示す。

図 5.29: 小計以後のキャッシュ名目勘定の算出
\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{rlr\vert lrr}
\hline
\hline
\cline{...
...0 & & &!c支払配当金  &100 &110 \\
\hline
\hline
\end{tabular}
\end{figure}

5.28に示したフロー試算表の税引以後の部分に、この表の左右を反転したものを加え、いくつかある同額の同名科目同士を削除すると、次表に示す間接法によるキャッシュフロー計算書を表5.30が得られる。

図 5.30: 間接法によるキャッシュフロー計算書
\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{rlr\vert lrr}
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\hline
&\multi...
...60 &前期末キャッシュ&1300 &2060 \\
\hline
\hline
\end{tabular}
\end{figure}
また、元のフロー試算表を再現できるという完備性を担保するためには、最初に名目勘定の調査を行っただけで、実際には使わなかったフロー試算表の前半である税引前の部分、および非キャッシュ補正の仕訳の表5.29が必要であるが、いずれもすでに示したものなので、再掲は省略する。

ここで示した手法は、前述のように簡略化できるので、ぜひ確認してもらいたい。

  1. フロー試算表で利益処分に関する名目勘定と実在勘定で、同額のもの同士をすべて消去し、税引前利益のところを境に上下を分離する。 重要な作業は下側で行う。 下側を税引後フロー試算表、上側を税引前フロー試算表と呼ぶことにする。
  2. 上側の税引前の部分からCFO小計後の各項と関係のある名目勘定をすべて取り出し、左右を反対にして下側の !税引前利益の後に入れる。 これらの項は「!...の補正」と呼ばれるが、本書では(-)を付けて表示する。
  3. CFOの小計前の項目に関係する実在勘定のみ (流動資産と流動負債) を残し、その他の固定資産、固定負債、純資産に関する実在勘定 (税金、配当金も含む) を消し去る。 残ったこれらの項目は「運転資本」と呼ばれる (右貸方が大きいと正)。 また、利益処分に関する同じ値を持つ名目勘定と実在勘定は、ペアで消去する。
  4. 仕訳帳に遡り、CFOの小計以後、CFI、CFFを含むすべてのキャッシュの収支 (収益、費用ではない) を調べ、小計以後に記載する。 残りは小計前に集める。

改めて強調するが、間接法になっても、小計後のキャッシュフローに関する仕訳のキャッシュ性、非キャッシュ性の調査は、厳密に行わなければならないのである。 省略できるのは、小計前の仕訳調査だけである。 しかし、通常の決算作業では、膨大な仕訳により成り立っている仕入や売上のキャッシュ、非キャッシュの分類は行われていないので、これだけでも、大いなる利便性があるのである。 しかし、仕入と売上のキャッシュと非キャッシュへの分離は、準直接法でも述べたように比較的容易である。 したがって、現在、主として間接法が使われているのは、かつて資金運用表により経営管理をしてきた米国の伝統を踏襲しているというのが最大の理由であろう。 会計処理を計算機で行う現在、間接法を使う効用は少なくなっていると考えられる。

なお、米国では直接法を推薦しているものの、その場合には、税引前利益から小計を得るところまでを別表として添付することを要求している。 つまり、間接法の作業をすべて行わなければならない。 これが、米国において直接法の普及しない最大の理由であろう。

キャッシュフロー計算書も、実用的には報告式のものが多い。 間接法のものを例として表5.31に示そう。 右貸方をベースに、左借方は符号反転して左右混合して表示するため、作成には簡単であるが、読み解くのはかなり困難である。 間接法によるキャッシュフロー計算書に対するかなりの知識と、補正、増加量/減少量、収入/支出といった単語、それと数値の正負から、解析は可能であるが、それでも大変なロードである。 ここでは、理解を助けるために、左借方に置くべき項目にはすべて△を付けた。 先に求めた勘定式のものと項目を比較すると、その構成が徐々に理解できよう。

図 5.31: 間接法によるキャッシュフロー計算書 (報告式) (△は勘定式の左借方に置かれる項)
\begin{figure}\centering
\begin{tabular}{rl\vert rl}
\hline
\hline
&\multico...
...00 \\
&当期末キャッシュ &2060 \\
\hline
\hline
\end{tabular}
\end{figure}

直接法の報告書形式は、省略するが、この表から容易に推定できよう。

ここでキャッシュフロー計算書を求める三つの方法をまとめておこう。

直接法
資金繰り表のように仕訳帳からキャッシュ性仕訳を抜き出す。 仕訳帳全体のキャッシュ、非キャッシュの分離が必要。 直感的。
準直接法
資金移動表のように、通常のフロー試算表があればよい。 必要に応じ、仕訳のキャッシュ、非キャッシュの分離が必要。 直感的。
間接法
資金運用表のように通常のフロー試算表があればよい。 必要に応じ、仕訳のキャッシュ、非キャッシュの分離が必要。 米国の伝統を踏襲。


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OKABE Yoichi 平成22年5月17日