設備の購入時期などを調整すると、キャッシュフローの総額が同じであっても、 その毎年の分配をコントロールすることが可能となる。 あるいは、いくつかの事業の投資効果を調べたいことがある。 いずれの場合にも、キャッシュアウトとその結果得られるキャッシュインの 時系列的取り扱いをいかの経営戦略に取り入れるかの議論である。 こうした議論に便利なものが、割引キャッシュフロー(discounted cashflow, DCF)法という 概念である。
現在受け取ったキャッシュは将来は利息分価値が上がるはずである。
逆にキャッシュを将来受け取ると現在の等価価値は低いはずであるという考え
方である。
この考え方は、将来価値(future value, FV)と
割引現在価値(net present value, NPV) (あるいは単に
現在価値(present value, PV)ともいう) という言葉で
定義される。
例えば、将来の
年後に
だけのキャッシュフロー
(キャッシュイン-キャッシュアウト) がある場合、対応する現在価値は、
割引かれて
で与えられる。
この結果、総額として
が同じならば、
を最大化するよう、キャッシュインはなるべく早目、
キャッシュアウトはなるべく遅目という判断基準が得られる。
もちろん、いつも好きな時にキャッシュアウトやキャッシュインが
得られるわけではないので、こうした年利の効果を考えて戦略を
練ることとなる。
この計算は、年利に依存する。
実際には、年利として、長期国債利回り(yields of long-term government bonds)に、若干のリスク分追加した
値を設定することが多い。
このため、上記で年利と書いたところは割引率(discount rate)と別の言葉で
表現することが多い。
このように割引率にはやや任意性があるので、逆に
となる割引率を計算することが多い。
この際、投資のキャッシュアウトも、投資の結果得られる
キャッシュインもすべてを含めて合計するのである。
こうして得られた割引率を内部収益率(internal rate of return, IRR)と呼ぶ。
これを長期国債利回りと比較して事業評価を行えばよい。
かつては、投資家や企業内の事業投資といった種々の投資の評価には、
投資利益率(rate of return on investment)
やその逆数である
投資回収期間(investment payback period)
が用いられた。
代表が ROE や ROI である。
しかし、現在はそれらが割引キャッシュフロー法の結果である
や内部収益率に置き換えられつつある。
この割引キャッシュフロー法の考え方はここで述べた以外にも、 いろいろなところで利用可能である。 年金を一時退職金でもらうなど、あらゆる支払の長期払いと一時払いの比較や 算定基準に利用できるのである。 またローンもこの考えによれば、それほどの過大負担でないことが 理解できよう。