まず、子会社の外貨建ての期首貸借対照表を見てみよう。 子会社の資本金のうち親会社が保有している部分があるが、そうしたことは 次節の連結決算までは気にしなくてよく、次の期首貸借対照表の外貨建て 部分だけを見ると、今迄慣れ親しんできた貸借対照表と同じ 取り扱いであることが分る。
外貨の単価は F と記載することとする。 次章で述べるような連結会計処理をしようとすると、子会社(subsidiary)S社の 会計処理も円建てでする必要がある。 外貨建てでの財務諸表は、一般の手法と全く同じに作成することができるが、 これを円建てにするには若干の手続きが必要となる。 それは、外貨の換算レートが日々変化するからである。 基本的には、取引の発生の都度、その時点のレートを用いるのが原則である。 以後の作業で扱う可能性がある為替換算レートを次のように仮定しよう。 親会社が子会社の純資産の一部を投資した時点の為替レートを 20円/F、今期の期首で 22円/F、期末で 26円/F、配当金支払時で 24円/F であったとする。
資産の評価は、基本的にはその評価時点でのレートで行なう。 したがって、貸借対照表の殆んどの実在勘定は、この場合期首のレート 22円/F で換算する。 例外は資本金であり、これだけは親会社が子会社の株を購入した時点で 確定しているので、20円/F で換算する。
さらに、今期中に起きた取引については、その都度のレートを使うのは 面倒なので、期中平均値として 25円/F を利用する。 これは、単に本書だけの取り扱いではなく、実際の連結決算を行なう場合にも 使われる標準的な取り扱いである。
また円建ての利益剰余金は、過去の決算時ごとの当期利益の積上げであり、 その都度ごとの換算レートの影響を延々と受けてくるため、簡単なレートでは 換算できない。 ここではそのまま、表の値を受け入れて欲しい。 なお、円建ての利益剰余金が今期にどのように決定されるかは、本節で 説明する。
すべての科目を同一のレートで換算すると、円建ての貸借対照表でも 平衡がとれるが、資本金と利益剰余金の二科目は、期首のレートとは異なる別の レートで換算しているため、円建ての貸借対照表は平衡がとれなくなる。 このため、何らかの調整が必要であるが、これは科目ごとの換算レートが 異なることに依るだけで、どこが利益を上げているわけでもないので 為替換算調整勘定(exchange conversion adjust account)という資産科目を導入して為替換算調整(exchange conversion adjustment)を 行なう。