P社の当期の仕訳帳を次に示す。 ここでは、株主総会提出時の財務諸表を前提に議論を行なうが、いつの時点での 財務諸表でも作業の仕方は同じである。 仕訳帳は税引前で一旦仕切っている。
P社の持っている現金のうち、一部が外貨 F2.5 であったとしよう。 期首と期末の換算レートを22円/F と26円/F とすると、 期首には、邦貨55円であるが、期末には 65円になる。 つまり、為替レートの変動により、儲かったことになる。 この差の調整には為替差益(exchange marginal profit)という概念を用いる。 一般にこれが負になったときには為替差損(exchange marginal loss)という項を 導入することがあるが、本書では左借方に !為替差益(負) と 記載することとする。
将来キャッシュフロー計算書を作成することを考え、キャッシュと 非キャッシュの実在勘定間の取引の場合には、これを二行に分割するという 手続きをとる。 またキャッシュの項目は「現金と預金」という科目に纏めた。 こうした分割処理を行なった仕訳は、右欄外に「c」、「n」を付けた。
次に S社の仕訳帳を見てみよう。 仕訳帳も外貨建てのものは、従来のものとまったく同じ考えで作成される。 例のごとく、キャッシュと非キャッシュ実在勘定間の取引はキャッシュ性の 仕訳と非キャッシュ性の仕訳の二行とする。 表の横幅が大きいので、摘要覧を省略したが、こうした分離された仕訳には、 右欄外に「c」、「n」を付した。
円建てのものは、本来、取引の時点ごとに、その日のレートで 換算すべきであるが、決算時にまとめて計算する方が楽なので、期中の平均の レートである25円/F で換算する便法がとられる。 便法とは言え、期末決算の作業量を考えると、この換算の方がはるかに 便利である。
しかし、すべての科目が同じレートで換算される訳ではない。 最後の配当金だけは、配当当時のレートである 24円/F で 換算する。 これは配当の一部が親会社に配られる可能性があり、その場合、親会社側は、 当然のことのように、そのときのレートで円に換算して収益に 組入るからである。 円建ての借方貸方の平衡が崩れるため、調整の必要があるが、この場合には 「為替換算調整勘定」ではなく、「!為替差益」で処理する。 このように、外貨のままでなく、円に交換される場合には名目勘定科目で 処理する。