借入金、いわゆる借金などは、値が大きい方が財産を減少させる。 これらは負の財産(negative property)として扱い、現金や備品のような 正の財産(positive property)と逆の働きをすると考える。 正の財産を資産(assets)、負の財産を負債(liability)と言う。
| 負の財産の増加と正の財産の増加で平衡がとれる |
| 正の財産の増加 負の財産の増加 |
借金をして 15000 円の現金を得たような場合には、 表1.7のように、借入金の増加に対応して右貸方に記載する。
借入金を踏み倒したり、棒引きしてもらったときには、その平衡は 表1.8のようにしてとる。この他にも種々の組み合わせが 考えられるだろうが、読者のトレーニングとしていただきたい。
| !収益の発生と負の財産の減少で平衡がとれる |
| 負の財産の減少 !収益の発生 |
同じ現金を増すのに、ここでは負の実在勘定である借金で平衡をとり、一方、 表1.4では名目勘定 (収益) である拾得金で平衡を取ったのは 何故かを考えておく必要があろう。 まず、負の財産といったときには、その勘定科目は明らかに継続性のある ストックの概念を有している。 仮に口頭での約束であっても、基本的に完済されるまで、会計期間を越えて 存在するものである。 このように、正の財産を得るために使われる継続性のある勘定科目は負の 財産として扱われなければならない。 一方、正の財産を得るために、拾ったなどといった継続性のない原因によった 場合には、その勘定科目は名目勘定として扱われるべきである。 この継続性の有無というのが、勘定科目を実在勘定とすべきか、 名目勘定とすべきかの大きな分岐点となるのである。
負数の使用に慣れた人は、T字型の 2列の表とせず、1列の表で 議論することができる。 財産の増加は正数で、減少は負数で表現することになるので、この例では、 負数の現金と正数の備品が縦に並ぶことになる。 この場合、合計が 0 になることが平衡の原理に対応する。 複式簿記の独特な T字型は、表をなるべく正数だけで構成するための工夫と 理解してよい。