まず、期首貸借対照表の連結が必要である。 子会社への出資を前期末に行なったとしよう。 例えば、子会社の株券の60%を購入したとする。 株券の適正価格は子会社の純資産の総額の60%と考えられている。 もし、この金額で株券を購入したとすると、子会社の純資産はすべて、親会社の 投資によって賄われたことになる。 もし、これが一つの統合された会社であるとすると、親会社の投資有価証券と 子会社の純資産の二つは互いに丁度相殺し、親会社の純資産で子会社の 経営がなされていることになる。 子会社純資産の残りの部分は親会社以外の少数株主(minority stockholders)の 少数株主持分(equity of minority stockholders)として処理される。
往々にして、子会社の株券の価格が純資産による裏付け価格より 上がっていることがある。 これは株式市場がこの子会社の将来性を買っていることになるのであろうが、 株券を購入した親会社にとっては、少なくとも一時的に損失を 背負込むことになる。 もし子会社が本当に優良なものであれば、この損失は長期的な子会社の 利益によって解消されることになる。 こうした点を考慮し、通常、この損失は単年度の損失とはせずに、 一旦左借方科目の連結調整勘定(consolidation adjust account)というストックの項目で受け、 連結調整勘定償却(depreciation of consolidation adjust account)という形で何年かの損失の置き換えるという操作を 行なう。 逆に株価が低い場合には連結調整勘定を右貸方に置くか、負とする。 こうした手順を連結調整(consolidation adjust)と呼ぶ。
この例では、期首では、S社の資本金 400 と剰余金 285 の 60% である 240 と 171 は P社の投資有価証券 500 と相殺しなければならない。 株価が高過ぎるので、不一致分の 89 は左借方に連結調整勘定を 置くことで行なう。 連結調整勘定償却(depreciation of consolidation adjust account)は20年以内に行なうことが要請されている。 一方、S社の資本金の 40% である 160 と 114 は少数株主のものである。 この結果、期首における連結調整勘定(consolidation adjust account)は次のようになる。
この仕訳から分るように、連結作業は基本的に消去なので、通常の勘定科目の 置かれる側と反対側に仕訳けられる。 それを明示するために(減)を付した。 もちろん、通常置かれる側に置いて、符号反転しておいても結果は同じである。 S資本金PとS資本金Oを加えたものは、元々のS資本金になるし、 利益剰余金についても同じことが言える。
なお、両社間には、これ以外の取引はなかったと仮定する。
具体的には、連結会社の場合と同様な関連があるときには、すべて、同じような 処理をすることになるが、二つの勘定科目だけで処理してよいこと、また、 P社への影響だけを考え、他の株主のことは考慮しなくてよいので、 作業はずっと楽になる。
期首の関連会社 A社の純資産を300とし、P社の株の持分率を 40% であるとすると、P社の持分は 120 となる。 この会社の株を前期末に 150 で買い取ったとしよう。 このときP投資有価証券の値はA社の純資産の評価額に置き換えられ、 その投資差益は「!持分法による投資益」により調整される。 しかし、期首には貸借対照表しか持たないため、結局は「利益剰余金」により 調整される。
親会社と子会社の期首貸借対照表を加えた上に、これらの仕訳を加えると、 期首連結貸借対照表(initial consolidated balance sheet)が得られる。 当然のことながら、nS資本金と nS利益剰余金と nP投資有価証券Sは消え失せ、 n少数株主持分と n連結調整勘定に差し交わる。 また、nP投資有価証券Aは、評価額に差し替えられ、利益剰余金で調整される。
なお、連結決算では準備金や剰余金を、ひっくるめて、すべて 連結剰余金(consolidated surplus)と呼ぶので、この科目名の変換のための仕訳が 必要である。 本書では、簡単に、これらを連結剰余金と書き換えて処理することにし、 この例の場合には利益剰余金を連結剰余金と書き換えた。