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国の会計基準との整合性

独立行政法人会計と国立大学法人会計には共通点が多いので、特に区別を要しない多くの場合には、まとめて法人会計と呼ぶこととする。

国の歳入歳出については、いくつかの規則がある。 そのうちで法人会計と関連するものを挙げておこう。

  1. 国の目的に叶った支出額しか支出できない。
  2. 年度をまたがる経理は許されない。
  3. 減価償却の概念がない。
  4. 引当金の概念、特に退職金引当金の概念がない。

一方で、法人側は、企業的な利益的概念を取り入れようとしているので、次のように取り扱いたい。

  1. 国からの補助金は、年度当初に運営費交付金の形で、一括に収益として受領し、法人の目的に叶う限り、自由に支出できる。
  2. 年度をまたがる経理を行なう。
  3. 減価償却の概念を入れ、利益の平準化を企る。
  4. 引当金の概念、特に退職金引当金の概念を入れる。

これらの矛盾を整合するために、次のような方針を採用したようである。 しかし、筆者の不勉強のため、以下の方針の論理的根拠は不明である。

  1. 運営費交付金は、業務の達成が保証されない限り、無条件には交付しないもとする。 そこで、何らかの条件が達成されないうちは、負債とし、条件が充足されて初めて収益化できることとする。 そこで運営費交付金の最大額は、年度初めに負債の形で担保され、年度末に条件が達成された分だけを、法人の正式の収益とする。
  2. 運営費交付金の収益化は、本来ならば成果進行基準、つまり法人の業務達成状況に応じて行なうようにすべきであるが、成果の評価に時間がかかることなどから、独立行政法人では、費用進行基準、つまり使った費用相当額までを収益化できる。 棚卸のように、年度末での一括収益化も可能である。 収益化については最終的には、成果との関連が要求される。 年度末に残がある場合は、積立金とする。
  3. 国立大学法人の運営費交付金の収益化も、独立行政法人とほぼ同様に負債からスタートするが、期間進行基準、つまり、年度末になると、すべてを収益化できる。 その他、施設費、授業料収入、(使途特定)寄付金も同様に扱う。 なお、委託研究収入は費用進行基準とする。 附属病院収入については、入金時から収益化できる。
  4. 中間目標達成の年度に、これらから派生した積立金のうち、所轄大臣の認可した部分は次期中期目標期間に繰越積立金とできるが、認可されなかった部分は国庫納付金として返済することとなる。
  5. 国から移管を受けたり、運営費交付金で購入した資産のうち、減価償却の可能性のあるものは、国からの流動負債とする。 運営費交付金のように、減価償却があると、通常の仕訳以外に、この流動負債を減ずる。
  6. 運営費交付金で人件費を支払う場合には、退職金の原資は運営費交付金に含まれているので、引当金という概念はない。 ただし、運営費交付金以外の収益による人件費、あるいはあらかじめ 中期目標において、引当金を法人側が支払うとした人件費については 退職金引当金を費用として計上する。 その他の引当金については、通常の企業会計と同じである。

独立行政法人の財務諸表とは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書 (多くは直接法) に加え、行政サービス実施コスト計算書からなる。 キャッシュフロー計算書については、今まで述べたことと大きな違いはないので、説明を省略する。 また、退職金引当金については、これを設定するかしないかの基準があるだけなので、必要なところで言及するに止め、特に節は設けない。

また、官庁向けに、従来通りの収支決算報告書が要求される。 これは、複式簿記の読めない官僚のためであろうが、単なる経理作業の増大となるので、早急に整理して欲しいものである。


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OKABE Yoichi 平成22年5月17日