: 運営費交付金
: 独立行政法人・国立大学法人会計
: 独立行政法人・国立大学法人会計
目次
索引
独立行政法人会計と国立大学法人会計には共通点が多いので、特に区別を
要しない多くの場合には、まとめて法人会計と呼ぶこととする。
国の歳入歳出については、いくつかの規則がある。
そのうちで法人会計と関連するものを挙げておこう。
- 国の目的に叶った支出額しか支出できない。
- 年度をまたがる経理は許されない。
- 減価償却の概念がない。
- 引当金の概念、特に退職金引当金の概念がない。
一方で、法人側は、企業的な利益的概念を取り入れようとしているので、
次のように取り扱いたい。
- 国からの補助金は、年度当初に運営費交付金の形で、一括に収益として
受領し、法人の目的に叶う限り、自由に支出できる。
- 年度をまたがる経理を行なう。
- 減価償却の概念を入れ、利益の平準化を企る。
- 引当金の概念、特に退職金引当金の概念を入れる。
これらの矛盾を整合するために、次のような方針を採用したようである。
しかし、筆者の不勉強のため、以下の方針の論理的根拠は不明である。
- 運営費交付金は、業務の達成が保証されない限り、無条件には
交付しないもとする。
そこで、何らかの条件が達成されないうちは、負債とし、条件が充足されて
初めて収益化できることとする。
そこで運営費交付金の最大額は、年度初めに負債の形で担保され、年度末に
条件が達成された分だけを、法人の正式の収益とする。
- 運営費交付金の収益化は、本来ならば成果進行基準、つまり法人の
業務達成状況に応じて行なうようにすべきであるが、成果の評価に
時間がかかることなどから、独立行政法人では、費用進行基準、つまり使った
費用相当額までを収益化できる。
棚卸のように、年度末での一括収益化も可能である。
収益化については最終的には、成果との関連が要求される。
年度末に残がある場合は、積立金とする。
- 国立大学法人の運営費交付金の収益化も、独立行政法人とほぼ同様に
負債からスタートするが、期間進行基準、つまり、年度末になると、すべ
てを収益化できる。
その他、施設費、授業料収入、(使途特定)寄付金も同様に扱う。
なお、委託研究収入は費用進行基準とする。
附属病院収入については、入金時から収益化できる。
- 中間目標達成の年度に、これらから派生した積立金のうち、所轄大臣の
認可した部分は次期中期目標期間に繰越積立金とできるが、認可されなかった
部分は国庫納付金として返済することとなる。
- 国から移管を受けたり、運営費交付金で購入した資産のうち、
減価償却の可能性のあるものは、国からの流動負債とする。
運営費交付金のように、減価償却があると、通常の仕訳以外に、この
流動負債を減ずる。
- 運営費交付金で人件費を支払う場合には、退職金の原資は
運営費交付金に含まれているので、引当金という概念はない。ただし、
運営費交付金以外の収益による人件費、あるいはあらかじめ
中期目標において、引当金を法人側が支払うとした人件費については
退職金引当金を費用として計上する。
その他の引当金については、通常の企業会計と同じである。
独立行政法人の財務諸表とは、貸借対照表、損益計算書、
キャッシュフロー計算書 (多くは直接法) に加え、行政サービス実施コスト
計算書からなる。
キャッシュフロー計算書については、今まで述べたことと大きな
違いはないので、説明を省略する。
また、退職金引当金については、これを設定するかしないかの
基準があるだけなので、必要なところで言及するに止め、特に節は設けない。
また、官庁向けに、従来通りの収支決算報告書が要求される。
これは、複式簿記の読めない官僚のためであろうが、単なる経理作業の
増大となるので、早急に整理して欲しいものである。
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Yoichi OKABE
平成20年5月17日