高い増幅率を持つ直流増幅器を構成するには、上記のソース接地回路を 多段にする必要がある。 しかし、前段の増幅器の動作点の出力電圧と、後段の入力バイアスレベルには 通常差があるので、ここにレベルシフトと呼ばれる定電圧源を入れる 必要がある。 それにしても僅かなずれが有ったり、入出力伝達特性が、少しでもずれると、 そのずれはどんどん増幅されていき、安定な直流増幅は容易ではない。 これに対する対策は後の章で述べる。
しかし、交流の高増幅率の増幅器は簡単に構成できる。 何故かというと、信号は前段の増幅器の出力をキャパシターで切って、後段の 入力に与えることができるが、これとは独立に入力バイアスは抵抗を適当に 接続することにより、ある程度自由に設定できるからである。 基本的に信号伝達とバイアス設定を独立に設定できることが多段の交流増幅を 容易にする。
具体的には、図3.6のようにする。
キャパシターの後にある縦続された抵抗は、入力側のバイアスを
与えるものである。
直流バイアス電圧は、電源電圧
を抵抗分割したもので与えられる。
これらの抵抗値を余りに小さくすると、前段の出力電圧がへたってしまう。
また、使いたい周波数範囲を通すのに、大きな値のキャパシターが
必要になるので、抵抗値は適度に大きくする必要がある。
余りに大きくすると、FETのゲートに漏洩があったり、部品を配置するボードの
漏洩などの影響を受けてしまう。
通常、出力抵抗の10倍程度の値を設定する。
この直流バイアスの
に加えて、微小な交流信号を重ねたものを
入力すると、出力には動作点の
を中心とした交流が発生する。
この交流の増幅率は動作点での入出力伝達特性の勾配で与えられる。
増幅器として考えるときには、エネルギー的に増幅されているかどうかを考える
必要がある。
つまり、電力増幅率が問題となる。
これは電圧増幅率と電流増幅率の積で与えられる。
ところで、先に述べたように、FETのゲート電流
はまったく
流れないという性質があるから、出力から少しでも電流がとれれば、
電流増幅率は無限大となる。
出力側についている抵抗の一部を外部抵抗として考えれば、出力には明らかに
電流変動を取り出すことができるので、電流増幅率は無限大となり、
電力増幅率は無限大となる。
交流の周波数を上げていくと、FETの動作も理想からずれてくるので、
各増幅率は少しずつ下がってくるが、少なくとも低周波では、ここに
述べたことは正しい。
この増幅回路がアナログ回路の基礎となっている。