同じような増幅回路を、図3.7のようにソース側に
抵抗を付けることに実現しようという方法もある。
これをドレイン接地増幅器という。
これでも、FETを流れる電流を抵抗で電圧へ変換でき、同じような動作が
期待できそうであるが、実はそれほど簡単ではない。
FETに流れる電流を制御しているゲート電圧は、厳密にはゲート-ソース電圧
である。
したがって、抵抗両端に電圧が発生し、ソースに電位が生じると、その結果
が減ってしまうという効果が発生する。
この回路の入出力伝達特性を求めるには、やはりグラフを利用する。
ゲートに入ってくる入力電位を仮定して解析するのは、大変難しい。
このため、
を仮定してしまう。
すると、FETの特性曲線が一本決定する。
FETの端子電圧と抵抗の端子電圧の和は今回も相変わらず電源電圧であるし、
双方の素子には共通の電流
が流れているので、前回と同様に二つの
線の交点から、それぞれの素子にかかっている電圧を求めることができる。
さて、入力電圧は
に抵抗にかかっている電圧を加える必要がある。
この点だけが、前回の解析と異なる点である。
つまり、入出力伝達特性は
の陰関数として求められることになる。
この手続きはあまりにも、面倒である。
最大の問題は、入力電圧が一定でも、ソース電圧が決まっていないので
も変化してしまうことである。
そこで、思い切って、電源で電圧が固定されている FET のドレイン側を
ソースと見なして見よう。
当然、出力端子側の元ソースはドレインと見なすことになる。
しかし、この場合、FET の主端子間には通常と逆の電圧がかかることになる。
ここで、活躍するのが、前章で述べた第三象限の FET 特性である。
この場合も、抵抗の両端に発生する電圧を電源電圧から差し引いたものが、FET
にかかる電圧になるから、電源電圧から抵抗の傾きを持つ直線を、第三象限の
FET 特性と重ねて描いて見る。
今度は、出力電圧が変動しても、ソースの電圧は変動しないから、考察はずっと
簡単になる。
ただし、入力電圧が、ソース電圧より低くなるので、FET の特性上で
負の曲線との交点を探す必要がある点を気を付ける。
こうして求められた入出力伝達特性を 図3.8に示す。 勾配がほとんど1に近いことに着目してほしい。 これは FET が大きな増幅率を持っているため、出力変動に対し、 ゲート-ソース間の電圧変動は極めて小さくなければならないこと、その結果、 入出力間の電位差が大きく動けないことから、簡単に理解できる。 ソースの電位がゲートの電位をほぼ追従することから、 ソースフォロワ増幅器とも呼ばれる。
以上の解析からもわかるように、ドレイン接地増幅器の電圧増幅率はほぼ 1 である。 このように、出力変動が入力側へまわって、電圧増幅率を下げる現象を 負帰還といい、特にアナログ回路で利用される技術である。 電圧増幅率は低いが、電流増幅率は無限大であり、電力増幅率も 無限大であることは覚えておいて欲しい。 残念ながら、主として 1 以上の電圧増幅率を必要とする デジタル回路ではほとんど使われない。