図5.3のように、入力には正負の入力端子があり、正入力と 負入力の差の電圧が増幅されて出力される。オペアンプには、この他、
オペアンプを利用する場合は、その大きな増幅率を直接利用することはほとんど 無く、
図5.4のように、出力から入力へ フィードバックをかけて利用することが多い。これは、回路の動作が 安定になることや、回路の線形性が増すなどの理由によるが、詳細は後に 述べる。ここで注意すべきは、フィードバックは必ず負入力端子に 対してかける。負入力に端子に信号を入れると通常は増幅作用を抑える 傾向になる。つまり安全サイドに働く。逆にフィードバックを 正入力端子にかけると、信号が何度も増幅される結果、異常発振などの不安定な 動作を起こす。
この図の回路の動作を解析して見よう。入力端子の電位を
、
とすると、オペアンプの増幅率
のとき、出力電圧
は
さて、
が極めて大きいとすると,
が極めて大きいことを前提にすると、もっと簡単に増幅率を
求めることができる。式5.2より、
が極めて大きくても
有限の大きさの出力電圧
が得られることから、逆に、ほとんど
次に式5.2を適用するのだが、次のように考えよう。
には
の電流が流れるが、この電流はオペアンプには流れ
込めないので、
に流れていき、
の電位差を作り出す。
つまり、
となり、増幅率
が得られる。
これを図で理解する方法を考えよう。
今までの考察は、オペアンプがかなり理想的な線形増幅器の特性を持つ
場合のものであった。実際にはオペアンプの出力電圧は電源電圧
V
を越えることができない。実際、フィードバックのある増幅器で入力
をどんどん大きくしていくと、最初の内は上で計算された増幅率に比例して
出力
はどんどん負に大きくなっていくが、いずれ
V で
飽和してしまう。これ以上入力を大きくしても出力は
V で一定に
保たれる。フィードバックがかかっているので、もしかするとこの議論が
成立しなくなると思われるかも知れないが、
が
V で
飽和しているときの
の電位は図による解法から明らかなように、必ず
正になり、この場合のオペアンプの出力は確かに負に飽和するので矛盾は
生じない。入力
が大きな負になった場合は出力は、
V で
飽和する。
次に
が有限である影響を考えよう。
は
程度以上ある。
ここではやや特性の悪い
として議論しよう。例えば
を
100 に選ぶと、式5.3より、増幅率は
と 1% ぐらい低くなるだけである。
が環境温度などで
多少ばらついても、フィードバック増幅器の増幅率は極めて安定であることが
理解できよう。例えば
が二倍になっても、増幅率は 1% しか
変化しない。
の増幅率を持つ増幅回路を、フィードバックなしの
増幅器一段で構成したときに、
が二倍も狂ったら大変である。しかし、
同じ増幅器をフィードバック増幅器二段で構成すると
が二倍も
狂っても、各段では増幅率が 1% しか狂わないので、二段でも 2% しか
狂わない。このようにフィードバック増幅器は極めて安定な増幅作用を
持つのである。
この効果はフィードバック増幅器の線形性を高める効果もある。例えば
原点付近で
が
で、最大出力振幅になる付近で
が
と、二倍もの勾配変化があるような非線形なオペアンプでも、
フィードバックをかけると、増幅率の非線形性は上記の考察のように 1% に
抑えられてしまう。このようにフィードバックを利用すると増幅率は安定でかつ
線形性が強調される。
抵抗値
、
はどのように選んだらよいのであろうか? 問題は
オペアンプの出力内部インピーダンス(1
以下)や入力
インピーダンス(10M
以上)である。当然、前者より十分大きく、
後者より十分小さくなければならない。多くの場合 100
ぐらいから 100k
ぐらいの値が選択される。