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非線形素子

非線形回路

以上述べた各回路はいずれも線形な動作を行い、入力を 2倍にすると出力も 2 倍になるといった性質を持っている。トランジスターや FETの増幅回路では 多少のゆがみが入るが、入力振幅をあまり大きくしないなど各種の 工夫によりなるべく理想的な線形増幅を行うよう注意が払われる。こうした 線形回路の代表例がオーディオアンプであろう。オーディオアンプは線形増幅と 減衰の作用により小さな信号を好みの大きさに拡大しスピーカーーを 駆動している。また、フィルター回路により音質を調整している。

一方、非線形回路とは非線形性を積極的に利用し面白い機能を実現しようと 言うものである。非線形とは電圧 $ V$ と電流 $ I$ が 比例しないというものであるから、たとえば

$\displaystyle V=A_0+A_1I+A_2I^2+A_3I^3+\cdots
$

のように $ I_2$$ I_3$ などに比例する項をもつものである。 簡単のために $ I_2$ に比例する項だけに着目してみよう。$ I$ として $ I=
I_0\cos\omega t$ のような交流を考えると、線形の場合には $ I_o\cos
\omega t$ $ I_0\sin\omega t$ に比例するような項しか 生じないのが、非線形の場合には倍角の公式を利用して

$\displaystyle I=I_1^2\cos^2\omega t=\frac12(I_1^2+I_1^2\cos2\omega t)
$

となるから、右辺第 1項のような直流分や第 2項のような 2倍波の成分が 発生してくる。また $ I$ として $ I=I_1\cos\omega_1t
+I_1\cos(\omega_12+\theta)$ のように二種類の周波数成分が 混ざったものを考えると加法定理を利用して

$\displaystyle I^2=\frac12I_1^2+\frac12I_2^2)+\frac12I_1^2\cos2\omega_1t
+\frac1...
..._2\cos[(\omega_1-\omega_2)t+\theta)]
+I_1I_2\cos[(\omega_1+\omega_2)t+\theta)]
$

となるから電圧には第 3項、第 4項のような $ \omega_1$$ \omega_2$ の整数倍、第 5項、第 6項のようなそれらの和や差の周波数成分の 発生することがわかる。 2次以上の高次の項があるとさらに $ n\omega_1
+m\omega_2$$ n$$ m$ の大きな項が出現してくる。このように 非線形作用は入力の持っている周波数の和や差の周波数成分を作り 出すことがわかる。

非線形回路を実現するのに良く用いられる素子はダイオードである。 ダイオードは順方向でほぼ短絡状態、逆方向でほぼ開放状態と 原点付近できわめて強い非線形性を示すからである。たとえば、図26??のような ダイオードと抵抗の組合せを作り、$ V_{in}$ として交流をかけると、

$ V_{in}$ 正のときはダイオードはほとんど短絡状態となり $ V_{out}$$ V_{in}$ と同じ波形となるが、$ V_{in}$ 負のときは ダイオードはほとんど開放状態となり $ V_{in}$ の電圧は $ V_{out}$ に 伝わらず $ V_{out}=0$ となる。このときの $ V_{out}$ の波形をもとの 周波数およびその整数倍の正弦波に分解すると、??のように $ V_{in}$ の 波形の周波数以外の波がかなり含まれている。たとえば波形の平均値は正の 値になる。またもとの周波数の整数倍の高調波がかなり含まれている。

この半波と呼ばれる波形をフィルタ回路を通して交流分を落とすと直流が 得られる。したがってダイオードは交流から直流を得る整流に良く用いられる。 実際には非線形回路とコンデンサー型フィルタを一体化したような図27??に示す 整流回路がよく使われる。コンデンサーは電圧を保持する機能があるので、?? のように $ V_{in}$ の方が $ V_{out}$ より低くダイオードが開放の 間はほぼ一定電圧を保つ。出力側から電流を使ってコンデンサー端子電圧が 下がると $ V_{in}$ の方が $ V_{out}$ より高い時間帯だけダイオードが 短絡しコンデンサーの電圧が再び高められる。$ V_{out}$ のわずかな凹凸が 問題となるときには、このうしろにさらに交流を妨げるフィルタ回路を接続して 用いられる。


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Yoichi OKABE 2008-02-17