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基本アナログ回路

増幅回路

増幅回路はトランジスターや FET を使って実現することができる。 トランジスタを使った増幅回路の例を図18??に示す。この回路は $ I_b$ に 与えたわずかな変動を増幅して $ I_c$ の大きな変動とするものである。 まず $ I_{in}=0$ のときの $ I_b$$ I_c$ を求めよう。ベース 電圧はわずかな電流を流し込むことにより図 8??のように約 0.6V となるので、 4V の電源より 34k$ \Omega$ の抵抗を通って (4-0.6)V/34k$ \Omega$ =0.1mA のべース電流 $ I_b$ が流れ込む (実はベース電流がうまく 決まるように抵抗値が決定される)。コレクター電流Icはトランジスターの 静特性から求めることができる。$ I_b=0.1$mA であるから $ I_c$ と コレクター電圧 $ V_{ce}$ の関係は静特性の $ I_b=0.1$mA の曲線で 与えられる。一方コレクターに接続された $ 100\Omega$ の抵抗の両端に は $ 100I_c$V の電位差が生じるから $ V_{ce}=4-100I_c$V でなければならない。

この関係をトランジスターの静特性と重ねて記入すると図中??の 破線のようになる。したがって $ I_b=0.1$mA に対する静特性と破線の 交点より、$ I_c=10$mA、$ V_{ce}=3$V であることがわかる。こうした 動作点を決めるバイアス電流 0.1mA に加え $ I_{in}$ を流し込んでベース 電流を変化すると交点は破線上を移動し、$ I_c$ が変化することとなる。 たとえば $ I_{in}=0.1$mA とすると $ I_b=0.2$mA となり、$ I_c$ は 10mA から 20mA へ変化する。つまり $ I_{in}$ の 0.1mA の変化に対し $ I_c$ は 100 倍の 10mA の変化をする。これが増幅作用である。このように トランジスターにより $ \beta$ 倍の電流増幅回路が得られる。コレクター 抵抗 $ 100\Omega$ の値をある程度変えても電流増幅率は変わらない。 したがってこれをスピーカーなどの各種負荷に置き換えても安定な電流増幅率が 得られる。

電圧の増幅も図19に示すように同様な回路で行うことができる。$ I_b$$ V_{be}$ の関係はほぼダイオードの順方向特性となるから、図中の $ V_{in}$ の 0.6V 付近のわずかな変化に対し $ I_{in}$ は大きく変化する。 $ I_{in}$ の変化によりその $ \beta$ 倍の $ I_c$ の変化が誘起され、 さらにその $ 100\Omega$ 倍の電圧変化が生ずるので大きな利得 ($ V_{out}$ の変化/$ V_{in}$ の変化) の電圧増幅が得られる。ただ 電流増幅に対し非線形が強いという欠点がある。この回路は多段にするのが 容易であり、全体としてきわめて大きな利得を持つ回路が作られる。ただし 0.6V 付近の $ V_{in}$ と 3V 付近の $ V_{out}$ を合わせるため、次段との 間は変化分だけを伝えるコンデンサーを挿入することが多い。

FET の場合もトランジスターと同様の特性を持っているため同じような回路で 増幅を行うことができる。ただトランジスターの場合にはベースにある 程度電流が流れ込み、むしろ電流制御型増幅素子として考えた方が良かったのに 対し、FET のゲートには原理的に電流が流れ込まず、純粋の 電圧制御型増幅素子である点が異なっている。したがって増幅器を 構成するときにはバイアス電流の替わりにバイアス電圧を用いればよい。 トランジスター回路と同様に $ V_{gs}$ を変動のないときの $ V_{in}$ (バイアス電圧) とした静特性、および電源電圧 $ V_{dd}$ とドレインに 直列に置かれた抵抗 $ R$ から定まる負荷直線 (破線) の交点から動作点が 決まる。次ぎに $ V_{in}$ を変動させたときのドレイン電圧 $ V_{ds}$ の 変化を求めると電圧増幅率が決定できる。適切な $ V_{th}$ を持つ FET を 用いればこのバイアス電圧も不要とすることができ、図20のような簡単な回路で 動作させることもできる。


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Yoichi OKABE 2008-02-17