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フィルタ回路の実現

フィルタ回路は L、C、R のみを使うだけで実現できる。 さらに、理想的な素子の得難い L を除外して C、R のみでも実現できる。 しかし、現在は演算増幅器を利用して設計する方が一般的である。 それは $ s$ の複雑な関数が実現しやすいからである。 特に前節で見られるように、伝達関数がいくつかの関数の積で 与えらえるときに、それを演算増幅器の縦列接続で簡単に実現できるという 特徴を持っている。 そこで、本節では演算増幅器の縦列接続によるフィルタの実現法について 述べる。

前節の有理関数の積で与えられた伝達関数は、それぞれの有理関数を実現する 増幅器の縦列接続で実現できるので、各段の設計法について述べる。

Figure 6.1: 二次の多重帰還増幅器
\includegraphics[scale=1]{fig/filter.MFB.eps}

6.1のように、帰還型の反転増幅器の前にさらに帰還をかけた 多重帰還増幅器(MFB: multiple feedback type active filter) を考える。

この回路の応答は次のように各ノードに入ってくる電流の総和が 0 の条件より 簡単に求めることができる。

$\displaystyle Y'_iV_i+Y'_fV_o$ $\displaystyle =$ $\displaystyle (Y'_i+Y'_f+Y_g+Y_i)V$ (6.28)
$\displaystyle Y_iV+Y_fV_o$ $\displaystyle =$ 0 (6.29)

これより伝達関数が得られる。

$\displaystyle -\frac{Y'_iY_i}{(Y'_i+Y'_f+Y_g+Y_i)Y_f+Y_iY_f'}$ (6.30)

一次関数は $ Y_i\rightarrow\infty$$ Y_g=0$ として実現できる。 つまり、一段の単純な帰還増幅器である。

$\displaystyle -\frac{Y'_i}{Y_f+Y_f'}$ (6.31)

各一次もしくは二次関数の実現法を以下にまとめる。 これで、所望の関数が実現できるかは、上式に各値を代入することで、 確認できよう。

$\displaystyle -K\frac a{s+a}$ $\displaystyle :$ $\displaystyle Y_i\rightarrow\infty, Y_g=0,\ Y_f=Cs,\
Y'_f=G=aC,\ Y'_i=KG$ (6.32)
$\displaystyle -K\frac s{s+a}$ $\displaystyle :$ $\displaystyle Y_i\rightarrow\infty,\ Y_g=0,\ Y_f=Cs,\
Y'_f=G=aC,\ Y'_i=KCs$ (6.33)
$\displaystyle -\frac{b^2}{s^2+2as+b^2}$ $\displaystyle :$ $\displaystyle Y_f=Cs,\ Y'_f=G=\frac{b^2}aC,\
Y'_i=KG,\ Y_i=(K+1)G,$  
    $\displaystyle Y_g=(K+1)\left(\frac ba\right)^2Cs$ (6.34)
$\displaystyle -\frac{Ks^2}{s^2+2as+b^2}$ $\displaystyle :$ $\displaystyle Y_i=Y'_i=Cs,\ Y'_f=\frac1KCs,\
Y_f=\frac a{K+1/2}C,$  
    $\displaystyle Y_g=\frac{b^2(K+1/2)}{aK}C$ (6.35)

これにより、LPF、HPF、BPF の構成できることは直ぐに理解できよう。 BSF だけは、上記の手法を使うよりは、BPF を利用して構成する方が 簡単である。 $ BSF=1-BPF$ を利用する。 つまり、$ V_i$ を BPF に通した負の出力と、生の $ V_i$ を加算器で 加算すればよい。


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Yoichi OKABE 2008-02-17