シグマデルタ AD 変換器(sigma-delta AD convertor)のわかりづらいのは、従来の AD 変換器の 考え方とまったく異なる点である。 従来の AD 変換器は、元のアナログ波形をそのままディジタル符号化することを 考えていた。
しかし、シグマデルタ AD 変換器では、元のアナログ波形から、 シグマデルタ変調を利用して、それと近い周波数スペクトルを持つディジタル 波形を作り出す。 この中間的なディジタル波形は、最終的に出力されるディジタル符号列とは 似ても似つかないものである。 むしろアナログ波形に似ている。 しかし、ディジタルであるので、ディジタル処理が可能なのである。
この中間的なディジタル波形を、量子雑音を除去するための低域通過型 ディジタルフィルタの入力に直接入れると、その出力はディジタル数値化された 出力波形となる。 出力がディジタル数値化されているということは、これをそのまま最終の ディジタル符号化出力として利用できるはずである。 つまり、AD 変換が成立したことになる。
この発想の転換に追従できないと、この AD 変換器は永久に理解できない。
元のアナログ波形の持つ周波数に対し、量子化雑音の持つ高周波成分を
十分高くするために、サンプリングの周波数は十分高くとる。
この比率をどのくらいとるかは、最終的に必要な bit 幅で決定される。
どの程度、通常の数十倍から数万倍のクロックで変換するので、これを、
オーバサンプリング法(oversampling method)という。
最終的に 12 bit のディジタル出力を得ようとすると、少なくとも
倍程度のオーバーサンプリングが必要である。
また積分器をもう少し複雑な
の関数とすると量子化雑音をもっと
抑えることができる。こうした概念を取り入れたものが、二重積分型と
呼ばれるものである。