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ナイキストの判定法

前節の安定性判定の式で、$ s=j\omega$ とし、$ \omega$$ -\infty$ から $ \infty$ まで変えたときの $ \arg(1+F(j\omega))$ の変化を調べてみる。

$\displaystyle \arg(1+F(j\omega))\vert _{-\infty}^{\infty}=\arg A +\arg(j\omega-...
...ega-s_n) -\arg(j\omega-s'_1)-\cdots-\arg(j\omega-s'_d)\vert _{-\infty}^{\infty}$ (4.4)

もし、$ s_1$ が左半平面にあれば、arg は $ \pi$ 増加し、 右半平面にあれば $ \pi$ 減少する。 したがって、上記の結果は、

$\displaystyle \arg(1+F(j\infty))-\arg(1+F(-j\infty))=\pi(n_l-n_r-d_l+d_r)$ (4.5)

となる。 ここで、$ n_l$ は分子で左半平面にある根の数、$ n_r$ は右半平面にある 根の数、$ d_l$$ d_r$ は分母で左右に存在する根の数である。 一方左辺は $ 1+F(s)$ 面で $ \arg(1+F(j\omega))$ が反時計方向に 何回回ったかの$ 2\pi$ 倍である。この時計周りの回転数を $ N$ とすると、$ -2\pi N$ である。

一方、実在の回路では、 $ s\rightarrow\infty$ で増幅率が低下し、 $ F(s)\rightarrow0$ が成立するが、この結果、 $ 1+F(s)\rightarrow1$ となる。 つまり、$ 1+F(s)$ の上下の次数は等しい。 このことから $ n_l+n_r=d_l+d_r$ が成立する。 そこで右辺は $ 2\pi(d_r-n_r)$ となる。 最終的に

$\displaystyle n_r=N+d_r$ (4.6)

が得られる。 安定のためには、この値が 0 である必要がある。 実用の回路では、分母に不安定零点を持つことは滅多にないので、$ d_r=0$ として、 $ 1+F(j\omega)$ が原点を時計周りに回ると不安定、あるいは 「 $ F(j\omega)$$ -1$ を時計周りに回ると不安定」という結論が 得られる。 これがナイキストの判定法(Nyquist criteria)である。

なお、ナイキストの判定法は、$ s$ 平面の現象を $ F(s)$ 平面に 変換したもので理解することも可能である。 不安定なシステムでは、$ s$ 面で右半平面に零点が存在することになる。 したがって $ s$ 平面で、虚数軸上を下から上へ移動した際、進行方向右に 零点があることになる。 $ s$ 平面の虚数軸は $ F(s)$ 平面では $ F(j\omega)$ なる曲線に 変換され $ -\infty$ から $ \infty$ の移動は、この曲線を時計回りに 回ることに対応する。 零点は $ -1$ に変換される。 そこで、 $ F(j\omega)$$ -1$ を時計周りに回ると不安定という同じ 結論になる。


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Yoichi OKABE 平成19年6月30日