近年,ラジオ,テレビ,ビデオ,携帯電話などに代表される家電製品の中核が LSI 化され,その内部はほとんどわからなくなってしまった。 かつては,ラジオ少年,無線マニアと呼ばれる若者がいたが, 現在では彼等も製品を買ってきて使うだけで, 中味は知らないようになってしまった。
いわゆるブラックボックス化であるが,はたしてそれでよいのであろうか。 科学は,未だ人類が知らないことを, より知っていこうという努力の結果,発展してきた。 家電製品などは,自然物ではなく人工物であり, 理解はもっと容易である。 それすら,理解を放棄してしまうのでは,将来の科学技術の発展はとても覚つかない。
幸いにしてコンピュータは驚くほど簡単な原理で作られている。 そのほぼ全容を理解することは,他の機器に比べると極めて容易である。 せめて,コンピュータのしくみと動作原理ぐらいは理解して欲しいというのが, この講義の目的である。
ご自身が,科学技術に対し,進取の気性を持っていただきたいという希望と, 特に放送大学の学生さんは,他への影響力も大きいことから, 周りにそのような気運を醸成していただきたいと希望している。
なお,放送教材は概念を伝えるように構成しているが, 印刷教材である本書は,かなり詳細にいたるまで記載している。 そのため,初めての人にはやや難しいかもしれない。 逆に, その気になればコンピュータを設計できるほどのレベルまで記載したつもりである。 初めての人は,そのつもりで,本書のすべてを理解できないからとがっかりしないで, まず概要をつかむようにして欲しい。 そして,将来,より興味が沸いてきたら,再び本書に立ち返られることを期待する。