チップと呼ばれる1cmほどの半導体の上に, 半導体を材料とするトランジスタ(transistor)やその他の部品も含め多量に搭載したものを 集積回路(integrated circuit)またはICと言う。 元々は,アナログ回路,特に直流増幅器という回路を作成する際, 特性の揃ったトランジスタを2個用意する必要があり, そのため同じ半導体材料に同時に作成するのがよいだろうということで発明された技術である。
集積回路には,それ以外にも,素子ごとの容器が不要な点, 素子ごとの接続のためのピン,コネクタなどの部品が不要なことから, かなり複雑な回路を極めて小型に作ることができるといった特長がある。 同じような理由から個別部品を集めたものよりはるかに安価である。 さらに外部接続数が少ない分だけ信頼性が高くなる。 トランジスタも小さくでき,配線も細く短くできるので, 小電力,高速となるといった多くの特長があるため,急速に発展した。 図 2.7は 2cmほどのケースに入っている本体5mm平方ほどのチップの集積回路である。 かなり低集積のものであるが, それでも100個ほどのトランジスタが入っている。
現在,集積回路はアナログ回路であろうとディジタル回路であろうと, あらゆる電子回路で使われている。 特にディジタル回路では,アナログ回路と比較し,入出力の本数が数倍は多く, 極めて膨大な数のトランジスタを必要とする。 このため,集積回路の必要性は益々高くなり, 微細化の技術とともにそれがさらに高集積化に結び付き, 最終的に,マイクロプロセッサ(micro-processor)やメモリー(memory)が 一つの半導体のチップの上に作成可能となってきたのである。
集積回路の規模は現在もディジタル回路を中心に年々大きくなりつつあり,
図 2.8に概略を示したように
素子数が1k(千)程度以下のSSI(small scale integration),10k程度以下のMSI(medium scale integration),
100k程度以下のLSI(large scale integration),1M(100万)程度以下のVLSI(very large scale integration),
10M程度以下のULSI(ultra large scale integration),100M程度以下のSLSI(super large scale integration)と発展し,
現在は1G(10億)程度のELSI(extra large scale integration)まで開発され,
コンピュータのプロセッサが複数,
数cm
のシリコンチップに載るようにまでなってきている。
この集積度がほぼ年数の指数関数的に増加していく経験則を ムーアの法則(Moore's law)と呼び,1.6倍/年あるいは 4倍/3年あるいは10倍/5年のペースで増加していく。 このように,特にディジタル回路の発展には,集積回路の進展が深く関与しており, これなくして,現在のディジタル全盛はありえなかったと言えよう。