現在,子供の理科離れが甚だしい。 また,この講義のような要素を組み上げていく, いわゆるボトムアップタイプの講義の人気も下がっていると聞いている。 ものごとを大づかみで理解するのが好まれ, そうしたトップダウンの講義が歓迎されるようである。 しかし,本当にそれだけでよいのであろうか。 今,家庭に限らず,工場や電力会社,通信会社でも, 中身を知らないでも済むような制御装置が行きわたっている。 しかし,複雑な故障が発生した場合, 制御装置の前でジタバタしても何の解決にもならない場合が多い。 制御装置の末端に何が繋がっており, それがどうなったかが想像できると復旧も速いのである。
災害のような深刻な問題が発生したときにも, 本質に遡って,物事に対処できる能力を持つことが必要なのである。 そうした立場から, 本書ではあえてボトムアップの原理原則から理解できるような構成を試みた。
一般にボトムアップの議論は, ある程度一生懸命にならないと理解し切れないものである。 しかし,いったん,ある程度のところまでわかってしまうと, 全体が突然見えてくるようになる。 算数のようなものなのである。 この講義を漫然として聞いてしまった人も多いかもしれないが, また,突然疑問を感じて,復習してみたくなるかもしれない。 そういうときには,押し付けられてではなく,自分の意志で学ぼうと思っているので, 理解は速いと思う。 ぜひ,そんなチャンスを利用して, ちょっとでも物事の本質を理解する力を養ってもらいたいと希望する。