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まえがき

C++ 言語は、C 言語をオブジェクト指向言語というものに整合性をとるよう発達させた言語です。 だからといって、C プログラミングのできる人がすぐに C++ プログラミングができるかというと、そう簡単ではありません。 C のプログラミングと C++ のプログラミングには根本的な考え方の違いがあります。 むしろ、C 言語を知らない人の方が、早く C++ プログラムが書けるといったことすらあります。 C を知っている人も、この考え方の違いを理解すれば、きわめて早く C++ を習得できます。

多くの C++ の著書が発刊されていますが、その多くは C を基礎にし、C++ はそれを少し変形したものとして書かれています。 したがって、書物のかなりの部分が C の説明にさかれており、最後の方に C++ のことがちょっと書かれたものが大部分です。 したがって、C++ の基本的な考え方がわからないうちに、 読み終わってしまうことが多いのです。

しかし、C と C++ は、文法的には親子のような関係があっても、 プログラムの考え方はまったく異なっています。 本書はそのあたりを明確に書きました。 しかも最初から C++ の概念を、簡単なプログラムを紹介することにより、 どんどん導入しています。 もちろん、C の書き方にも習熟しくように配慮されています。

C も C++ も今や、もっともよく使われている言語です。 C は計算機にやってもらいたいことを、 順に記述していく手続型言語と呼ばれるものの代表格です。 一方、C++ は、いくつかのプログラム中のユニットが相互に仕事を頼み合う という形で記述するオブジェクト指向言語と呼ばれるものの代表格です。 いずれも、大学のような言語の基礎を教えるところから、 企業のような応用的なプログラムを生産しているところまで、 どこでもよく使われている言語です。

さらに今日のインターネットの発展とも深い関わりをもっています。 C、C++ の普及にともなって、この言語に似た様々な有効な道具が生み出されました。 例えば、最近流行の WWW(World Wide Web)の発展にともなって生まれた言語 Java もその一つです。 Java はネットワーク対応のオブジェクト指向言語で、 ホームページ上でアニメーションを動かしたりゲームをしたりすることができます。 この Java も C、C++ に大変よく似た、しかし、より簡略化された言語なのです。 このように、今日のようなインターネット上のコンピュータ作業にはC、C++ 言語の理解は不可欠といってもよいでしょう。

本書の前半は、C++ の文法の基本となっている C 言語の習得にも役立つよう心がけました。 ここにも、具体的な優しいプログラムを紹介しながら、最初から C++ の考え方を導入しています。 また後半は C のやや高級な概念と、C++ のより深い考え方を、 少しずつ高級なプログラムを紹介しながら示しています。 むろん、演習も沢山、段階に合せたものを用意してあります。 さらに、Web との連携を図って学習を補助するように工夫してあります (http//www.maruzen.co.jp/home/pub/cplus2に問題の解答例を公開)。

このように、懇切丁寧な記述と仕掛がなされていますので、C を知っている人も知らない人も、本書を読んで、 楽しいプログラミングの世界に突入してください。

2000年9月                             著 者


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Yoichi OKABE 2006-05-20