以下に示すように、実対称行列では、固有値は実数、その固有値に対応する固有
縦ベクトルと固有横ベクトルは互いに転置の関係になる。また、Hermite 行列で
は、固有値は実数、その固有値に対応する固有縦ベクトルと固有横ベクトルは互
いに転置で複素共役の関係になる。つまり、固有縦ベクトルを
とする
とき、固有横ベクトルは、実対称行列の場合
、Hermite 行列の場合、
と書ける。しかし、一般の行列では、固有横ベクトルが固有縦ベ
クトルの簡単な形で表わされることは極めて少ない。
固有値問題とは
まず、
を求めてみよう。通常、上記の問題は、右辺を移項し
| (10) |
一般に、固有値の方程式は
次の方程式になるので、得られる固有値の総数
は行列の次数
となる。ただし、重根はありうる。固有値一つ一つに対し、
式 9 の ( ) 内の行列のランクが
より少ないことから、
ゼロベクトルでない固有縦ベクトル
が必ず得られる。
また同様にして、ゼロベクトルでない固有横ベクトル
を求めることが
できる。
[例 1] 例えば、
の場合、固有値は
の二つになる。
に対しては
より、
と
が得られる。
に対しては
より、
と
が得られる。
なお、係数は正規性が成立するように調整してある。また、これらのベクトルの
間に直交条件が成立していることは容易に確かめられよう。ここで注意して欲し
いのは、
と
の間には単なる転置とか共役のような簡
単な関係が成立していないことである。また、
と
の
間にも特別な関係は成立しない。成立するのは、異なる固有値に属する固有縦ベ
クトルと固有横ベクトルの直交関係だけなのである。このように、一般の行列の
解ベクトルは、固有縦ベクトルと固有横ベクトルを別途求める必要がある。
が対称行列の場合は式 7 を転置してみると
であるから
| (11) |
| (12) |
同様に Hermite 行列の場合は、式 7 の転置複素共役をとるこ
とにより、
であるから
| (13) |
| (14) |
さらに Unitary 行列の場合は、式 7 の転置複素共役をとり、
左右を入れ換えると、
| (15) |
| (16) |
| (17) |
例に示したように、一般の行列では、
と
は特別な数的関係
を持たないが、直交性は成立する。これを、一般的に証明することができる。今、
固有値に番号を付け、
とするとき、それぞれの固有縦
ベクトルを
、固有横ベクトルを
としよ
う。
式 18 の右式に右から
を掛けた式と、式 19 の左
式に左から
を掛けた式を比較すると、左辺はまったく等しいから、
右辺同士が等しくなる。
| (20) |
| (21) |
もう一つ以後の作業に便利な式を誘導しておこう。正規直交性より
![]() |
(22) |
| (23) |
![]() |
(24) |
| (25) |
この関係を行列
の右側に挿入すると
[例 2] 固有値と固有ベクトルが勝手に与えられている場合、それを解に持つよ
うな行列を作ってみよう。
、
とし、
、
としてみよう。
より
、正規化を考えると
となる。
同様に
、正規化を考えると
とな
る。これらを固有解とする行列は式 27 で表現できるから、
| (28) |
また、