多重根の固有値がある場合はちょっとやっかいである。エルミート行列の縮退の
ように直交した二つの固有ベクトルを選びだすことができる場合もあれば、
Jordan 形式にしかできないものもある。例を見てみよう。
[例 3]
とすると、固有値は
となる。ここで
は意識的に縮退を解くように対
角成分に入れた小さな量である。
の固有ベクトルは
、
となる。一方、
の固有ベクトルは
、
となる。これらは確かに正規直交系を組んでいる。
とすると、固有値は 0 に縮退するが、固有ベクト
ルは何ら変わらない。
[例 4]
とすると、固有値は
となる。
の固有ベクトルは
、
となる。
一方、
の固有ベクトルは
、
となる。これらは確かに正規直交系
を組んでいる。
とすると、固有値は共に 1 に縮退
するが、固有ベクトルは長さを調整すれば、
、
と同一になってしまう。さらに、正規性を
確保しようとすると、二つのベクトルが発散してしまう。発散してしまうベク
トルの発散を抑えるように調整すると、今度はもう一つのベクトルが発散して
しまう。
の場合には、
に独立な縦ベクトル
を用意し、
とし、これ
の逆行列、
を作成し、これらを使って
を対角化してみよう。
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例 3 の場合は始末がつけやすいが、例 4 の場合は固有ベクトルの数が一個減っ てしまったり、固有ベクトルが発散してしまうため、かなりやっかいである。
一般に、縮退した固有値
に対する変換用縦ベクトルを求めるには、固有ベ
クトル
を一つ求め、それから
の
関係を利用して、次から次へ縦ベクトルを求めていく。この際、
に
条件が課せられることもあるし、
に条件が課せられることもある。こ
の手続きで縮退度に対応するだけの縦ベクトルが求まる。例 3 のような場合も
同様な手続きで差しつかえないが、一般に複数の自由度が残るはずである。