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最小作用の原理

最小作用の法則とは次のようなものである。 今、ラグランジアン $ L$ に関する次の積分を考える。

$\displaystyle S(q(t))=\int_{t_0}^{t_1}dt\ L(q(t),\dot q(t))$ (A.33)

ここで、運動の軌跡 $ q(t)$$ q(t_0)$ の値と $ q(t_1)$ の値が定まっているだけで、途中は任意の関数であり、 必ずしも、運動の方程式を満した解とは限っていない。 この積分値を作用(action)と呼ぶ。

さて、ここから軌跡を $ q(t)+\delta q(t)$ と僅かに動かしてみる。 すると作用も僅かに変化する。 ここで、重大な事実が存在する。 この作用が停留する、 つまり軌道を僅かに変えても作用がほとんど変らないときには、 その軌道は運動方程式を満す。 また、逆に運動方程式を満す軌道の周辺で、軌道を僅かに変えても、 作用は停留するというものである。 本書では説明を省くが、停留といっても最小値になるので、 最小作用の原理(principle of minimum action)と呼ぶ。

作用が停留するときに、軌道が運動方程式を満すことは次のように証明できる。 質点がある軌跡から少しずれた軌跡 $ q(t)+\delta q(t)$ をとると、 軌跡の移動に伴なって各点での速度も $ \dot q(t)+d(\delta q(t))/dt$ と変化する。 したがって、ずれた軌道での作用と元の軌道の作用の差は次のようになる。

$\displaystyle \delta S$ $\displaystyle =$ $\displaystyle S(q(t)+\delta q(t))-S(q(t))$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \int_{t_0}^{t_1}dt\,L\left(q(t)+\delta q(t),\,
\dot q(t)+\frac{d\delta q(t)}{dt}\right)-S(q(t))$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \int_{t_0}^{t_1}dt\left[\D Lq\delta q(t)
+\D L{\dot q}\frac{d\delta q(t)}{dt}\right]$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \left.\D L{\dot q}\delta q(t)\right\vert _{t_0}^{t_1}
+\int_{t_0}...
...t\left[\D Lq\delta q(t)
-\frac d{dt}\left(\D L{\dot q}\right)\delta q(t)\right]$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \int_{t_0}^{t_1}dt\left[\D Lq
-\frac d{dt}\left(\D L{\dot q}\right)\right]\delta q(t)$ (A.34)

これが任意の微小軌道変形について、常に 0 となるためには、次式が成立しなければならない。

$\displaystyle \frac d{dt}\left(\D L{\dot q}\right)-\D Lq=0$ (A.35)

この式は前出のラグランジュの運動方程式(Lagrange equation of motion)そのものである。 逆にこの式が成立すれば、作用が停留することも明かである。 なお、上式の $ p=\partial L/\partial\dot q$一般化運動量(generalized momentum)と呼ぶが、速度を $ m$ だけした運動量とは若干異なる値となることがあるので、注意が必要である。


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Yoichi OKABE 2008-03-29