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単位ベクトル同士の内積を考えてみよう。
以後の説明では、しばらく、
変換前の座標系をデカルト座標(Cartesian coordinates)としておく。
デカルト座標の単位ベクトルは互いに直角でかつ長さが 1
なので、次式が成立する。
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(C.24) |
しかし、変換後の座標系の単位ベクトルの内積は、もっと色々な値となる。
それを計量テンソル(metric tensor)と呼び、
で表わそう。
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(C.25) |
以後の議論でわかるように、いろいろな計算が、
変換係数を用いないでも計量テンソルからだけできるようになるため、
極めて重要な概念である。
左辺の単位ベクトルを変換前の単位ベクトルに書き換えてみよう。
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(C.26) |
これが
でなければならないので、次式が得られる。
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(C.27) |
この式から
の対称性を示すことができる。
この式の両辺に
を掛けて、
、
で合計しよう。
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(C.28) |
右辺は
となるので、
まとめると次式の関係が得られる。
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(C.29) |
双対な単位ベクトルの内積から反変計量テンソルが定義できる。
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(C.30) |
これから同様にして次式が誘導でき、対称性が示せる。
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(C.31) |
さらに
を用いると、
先に示したベクトルの内積を共変ベクトルの成分で書き下すこともできる。
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(C.32) |
また、次の関係が成立する。
同様にして次式も成立する。
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(C.34) |
このように、計量テンソルは、
デカルト座標(Cartesian coordinates)との変換係数がわかっているときには、
それから計算できるのである。
例えば極座標の共変計量テンソルを求めてみよう。
であるので、
を
として、まず
は次のようになる。
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(C.36) |
これから、
は次のようになる。
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(C.37) |
同様に反変計量テンソルもデカルト座標(Cartesian coordinates)との変換係数から計算できる。
であるので、まず
は次のようになる。
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(C.39) |
これから
は次のようになる。
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(C.40) |
これらの結果を見ると、計量テンソルが対称であること、
共変と反変の計量テンソルの行列積が単位行列となることが確認できよう。
さらに、三次元のデカルト座標(Cartesian coordinates)
に置かれた球面上の二次元の球面座標(spherical coordinate)
の計量テンソルを求めるようなことも可能である。
この場合には、例外的であるが、次元の異なる座標間の変換係数を求めて、
計算することになる。
この場合、
の計算は
の次元数が
の次元数より大きいからできるのであることに注意して欲しい。
この場合の座標間を結ぶ式は
を定数として、次のようになる。
は次のようになる。
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(C.42) |
これから、
は次のようになる。
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(C.43) |
反変計量テンソルを計算するには、
の条件下で、
次式の関係を利用する。
であるので、まず
は次のようになる。
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(C.45) |
これから
は次のようになる。
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(C.46) |
これらの結果も、計量テンソルの対称性、
共変と反変の計量テンソルの行列積が単位行列の条件が成立している。
以上、
がデカルト座標であることを前提の議論を行ったが、
これが任意の座標であっても、計量テンソルの変換則を求めることができる。
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(C.47) |
これが、
であることから次式が得られる。
同様にして、反変計量テンソルの変換則も得られる。
このように、
の座標変換は、
一般の共変行列の変換と同じになるので、テンソルと呼ばれるのである。
計量テンソルは、多くの場合、デカルト座標との変換より得られるが、
相対性理論のように他の原理から与えられる場合もあることに留意して欲しい。
計量テンソルを使うと、ベクトルの長さを不変量にするのみならず、
任意の二つのベクトルの内積をも不変量にすることもできる。
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(C.50) |
この左右端の式を次のようにまとめてみよう。
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(C.51) |
ただし、
 |
(C.52) |
である。
このように、
共変計量テンソルは反変ベクトルに働いて関連する共変ベクトルを作り出す。
これを降階(lowering)という。
逆に反変計量テンソルは共変ベクトルを昇階(raising)して反変ベクトルとする。
ベクトルだけでなく、テンソルの降階、昇階もでき、便利なテンソルである。
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Yoichi OKABE
2008-03-29