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超伝導回路の解析

普通の回路では、キルヒホフの電流則(Kirchhoff current law)(Kh-$ I$)と キルヒホフの電圧則(Kirchhoff voltage law)(Kh-$ V$)が基本にある。 これらは分岐点での電流の総和が0になることと、ループに沿った電位差の 総和が0になることで表される。

Kh-$ I$:$\displaystyle \hspace{1cm} \sum I_i=0$   (分岐点) (581)

Kh-$ V$:$\displaystyle \hspace{1cm} \sum V_i=0$   (ループ) (582)

超伝導回路でも、これらの法則は当然成立するが、超伝導体がループを 作っていると、フラクソイドが一定に保たれるという性質がある。 しかも、その一定値は磁束量子の整数倍になる。 より厳密にいうと、超伝導体およびジョセフソン素子のフラクソイド(fluxoid) の総和が量子化される。

電圧を時間積分したものはフラクソイドであるので、要するにKh-$ V$則を 時間積分したキルヒホフのフラクソイド則(Kirchhoff fluxoid law)が成立する。

Kh-$ \Phi$:$\displaystyle \hspace{1cm} \sum\Phi_i = n\Phi_0$   (ループ) (583)

この式を時間微分するとKh-$ V$則となるので、普通の回路理論と 矛盾している訳ではない。 なお、電荷のない通常の超伝導体回路の世界では $ \mathop{\emph ▽}\nolimits ^2V=0$ が成立するので、この式より、フラクソイドについても、次式が成立する。

$\displaystyle \mathop{\emph ▽}\nolimits ^2\Phi=0$ (584)

この式は $ \boldsymbol{p}=m\boldsymbol{v}+e\boldsymbol{A}$の両辺の $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits $をとっても 証明できる。 右辺第一項は $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{J}$に比例するが、これは電流連続の式より0となる。 右辺第二項は $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{A}$に比例するが、これははて...

こうした回路を解析するには、通常の回路解析の電位をフラクソイドに置き換え るだけでよい。 次に回路内に適当な数の電源を置く必要がある。 そうでないと、すべてが0になってしまうからである。 これら電源から見たインピーダンスや相互インピーダンスを求めることになる。 解くべき変数は、ループの電流、または分岐点のフラクソイドのいずれを 選ぶかがある。

ループ電流を変数に選んだ場合、変数の数はループ数$ l$となる。 これにより、各枝の電流が決定できるので、各枝のインピーダンス (の時間積分)を利用して、各枝のフラクソイド差が求められるが、これらには Kh-$ \Phi$則が成立しなければいけない。 ループ数の条件があるので、条件数と変数の数が一致し、問題は 解けることになる。 なお、ループ電流を変数とする限り、Kh-$ I$則は自動的に満たされる。

分岐点フラクソイド(電位の時間積分値)を変数に選んだ場合、変数の数は 分岐点数$ n$となる。 これにより、各枝の両端のフラクソイド差が決定されるので、各枝の インピーダンス(の時間積分)を利用して、各枝の電流が求められる。 各分岐点でKh-$ I$則が成立していなければならないので、$ n$個の条件が 存在することになり、やはり一義に解くことができる。 超伝導インピーダンスを計算するには、この方法が適している。

各枝の電流やフラクソイドを変数にすることも可能であるが、一般に、変数の 数が多くなり、実用的ではない。


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Yoichi OKABE 平成21年7月3日