電磁気学の話の前に、一つ身近な単位系に関する例を挙げよう。 地上にある物体の受ける力は
さて、実用的な単位としてkgW(kg重)というのが利用されている。 1kgWとは1kgの質量が受ける重力と同じ大きさの力である。 そこで、この単位を使うと、次式が成立する。
まず式B.1で、
、
、
には数値だけでなく
単位も含んでいるとしよう。
すると、質量10kgのとき、式B.1は次のように書ける。
kgWの場合には次のように考えればよいことが想像できよう。
これに対し、式B.1は単位まで含めても成立する。
このように、単位まで含めて量として成立する式を量方程式(quantity equation)という。
また、{量} を、その量の数値部分、[ 量 ] を単位部分と記載するので、
量={量} [ 量 ] が成立する。
例えば
=9.8m/s
の場合、
=9.8、
=m/s
となる。
数値は単位系によって変わるので、必要に応じ、
MKS=9.8のように、
単位系をサフィックスなどで表示しよう。
また
m/s
などの式が成立する。
なお、量方程式が得られると、その数値部分だけでも等式が成立するし、
単位部分だけでも等式が成立する。
これを利用して、単位の次元を解析することができる。
また、量方程式を利用すると、単位間の換算などは簡単に行うことができる。
例えばこの例では、双方とも同じ質量に対する力なので、
に対してただちに10kgW=98N、つまり1kgW=9.8Nが得られる。
またこの両辺をkgで割ると、
に関する恒等式1kgW/kg=9.8N/kgも得られる。
同じ例を用いてCGS単位系との比較をしてみよう。
あたり前のことであるが、1kg=1000gであること、
重力加速度が980cm/s
=980dyne/gであることを知らないと換算はできない。
また、同じ物理状態を比較しないと単位の換算は不能である。
そこで、10kgつまり10000gにかかる力を式B.1により
計算してみる。
例のごとく、数値と単位を同時に計算する。
これらの例から想像するに、まず種々の単位系で使われる関係式を 統一的に包含する量方程式を作成する。 この際、ある変数は、単位系によっては1であるため、見えない、 あるいは式に現れないこともあるので、注意が必要である。 こうすることにより、関係式は数値および単位も含めた量方程式となる。 また、一つの単位系だけに着目すれば、単位の関係を求めるには、 数値を無視してよい、つまり次元解析が可能なことも理解できよう。 また単位系間の換算を行うには、 同じ物理現象を異なる単位系で記述することにより、可能となる。
電磁気学でも、ここで述べたような問題が原因で、単位を複雑にしている。
例えば、我々がそれぞれ学んだ書で使われている式は、
他の書では必ずしも同じ形とは限らないのである。
例えば、MKSA単位系では力の式に
が現れ、
マクスウェル方程式には現れないが、ガウス単位系では逆である。
このことから、いずれの書の式も式B.2のような意味で、
数値方程式だったことが理解できよう。
まずいずれの単位系でも用いることのできる量方程式を整備することが
必要であることを、十分理解してほしい。