next up previous contents index
: 滑車の例 : 作用積分 : ラグランジュの未定係数法   目次   索引

最小作用の原理

最小作用の法則とは次のようなものである。 今、ラグランジアン$ L$に関する次の積分を考える。

$\displaystyle S(q(t))=\int_{t_0}^{t_1}dt\ L(q(t),\dot q(t))$ (707)

ここで、運動の軌跡$ q(t)$$ q(t_0)$の値と$ q(t_1)$ の値が定まっているだけで、途中は任意の関数であり、 必ずしも、運動の方程式を満たした解とは限っていない。 この積分値を作用(action)と呼ぶ。

さて、ここから軌跡を $ q(t)+\delta q(t)$と僅かに動かしてみる。 すると作用も僅かに変化する。 ここで、重大な事実が存在する。 この作用が停留する、 つまり軌道を僅かに変えても作用がほとんど変わらないときには、 その軌道は運動方程式を満たす。 また、逆に運動方程式を満たす軌道の周辺で、軌道を僅かに変えても、 作用は停留するというものである。 本書では説明を省くが、停留といっても最小値になるので、 最小作用の原理(principle of minimum action)と呼ぶ。

作用が停留するときに、軌道が運動方程式を満たすことは次のように証明できる。 質点がある軌跡から少しずれた軌跡 $ q(t)+\delta q(t)$をとると、 軌跡の移動に伴って各点での速度も $ \dot q(t)+d(\delta q(t))/dt$ と変化する。 したがって、ずれた軌道での作用と元の軌道の作用の差は次のようになる。

$\displaystyle \delta S$ $\displaystyle =$ $\displaystyle S(q(t)+\delta q(t))-S(q(t))$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \int_{t_0}^{t_1}dt\,L\left(q(t)+\delta q(t),\,
\dot q(t)+\frac{d\delta q(t)}{dt}\right)-S(q(t))$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \int_{t_0}^{t_1}dt\left[\D Lq\delta q(t)
+\D L{\dot q}\frac{d\delta q(t)}{dt}\right]$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \left.\D L{\dot q}\delta q(t)\right\vert _{t_0}^{t_1}
+\int_{t_0}...
...t\left[\D Lq\delta q(t)
-\frac d{dt}\left(\D L{\dot q}\right)\delta q(t)\right]$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \int_{t_0}^{t_1}dt\left[\D Lq
-\frac d{dt}\left(\D L{\dot q}\right)\right]\delta q(t)$ (708)

これが任意の微小軌道変形について、常に0となるためには、 次式が成立しなければならない。

$\displaystyle \frac d{dt}\left(\D L{\dot q}\right)-\D Lq=0$ (709)

この式は前出のラグランジュの運動方程式そのものである。 逆にこの式が成立すれば、作用が停留することも明らかである。 なお、上式の $ p=\partial L/\partial\dot q$一般化運動量(generalized momentum)と呼ぶが、速度を$ m$ だけした運動量とは若干異なる値となることがあるので、注意が必要である。


next up previous contents index
: 滑車の例 : 作用積分 : ラグランジュの未定係数法   目次   索引
Yoichi OKABE 平成21年7月3日