ある点でだけ無限大となり、その他のあらゆる点で0となり、
かつ、全世界で体積積分すると1となる関数を、
ディラックのデルタ関数(Dirac
function)あるいは単にデルタ関数(delta function)と呼ぶ。
三次元空間での関数を議論する前に、
一次元空間でのディラックのデルタ関数(Dirac
function)を考えてみよう。
一次元空間で、まず、図 2.7に示すように、
原点の前後
の領域内だけ、
の値を持ち、その外はすべて0の不連続関数
を考えてみる。
この関数を
で積分して面積を求めてみると、その積分結果は明らかに1である。
そこで、
としてみると、
原点では
となるが、
原点を除くあらゆる点で
である。
こうした極限でしか定義されないものを、
関数といってよいかどうかといった問題は残るが、明らかに所望の性質を持っている。
こうした関数
を
と記載する。
原点以外の点
で特異性を持つデルタ関数を定義するには、
を使えばよい。
ここでは不連続関数を用いたが、例えば連続関数
で、
としたものも、同じ性質を持っており、
の別の定義となっている。
さらにガウス関数(正規分布)なども利用できる。
このような関数を探すのは容易であり、要は積分して有限になり、
軸方向に圧縮すると、
原点付近以外に大きな値を持たないような関数でさえあればよい。
積分結果を1にするには、適切な正規化を行うだけでよい。
三次元空間におけるデルタ関数は、半径
の球の内部で
の値を持ち、
外部では0となる関数の極限により定義することができる。
ここで、
は球の体積
である。
いうまでもなく、この関数の体積積分は1である。
また
により、原点以外は0となる。
この三次元空間におけるデルタ関数を
と書く。
この場合も、連続関数
の極限によっても、
定義することもできる。
また、原点以外の点
に特異性のあるデルタ関数は
で定義できることも、一次元の場合と同様である。
この三次元空間におけるデルタ関数を、以後、点状デルタ関数(point delta function)と呼ぼう。
さて前節最後の式2.34に示した
を
見てみよう。
まず、この式は原点では無限大となるが、それ以外のあらゆる点で0である。
さらに、この式を体積積分としてみると、
となることが分かる。
線状デルタ関数(line delta function)も定義することができる。
これは、円柱のような領域に対して定義された関数で、
長さは一定で断面積だけ縮めることにより得られる。
同じく断面積上で積分すると1になる関数である。
円柱の長さを短かめに定義し、これを軸方向に繋ぎ合せることにより、
任意曲線の存在する部分にだけ特異性のある場合を扱うことができるようになる。
次章で述べるように、線電荷や電流などを扱う際、便利であり、
と記載することとしよう。
このデルタ関数は、
が
の線分内にあるときだけ値を持つ。
面状デルタ関数(surface delta function)も定義することができる。
これは、厚さ
の板状の領域内だけ
の値をとり、
その外部では0となる関数を定義し、板の厚さだけ0に縮めることにより得られる。
この関数も、厚さ方向に積分すると1となる。
板の面積を小さめに定義し、これをジグソーパズルのように繋ぎ合せることにより、
任意曲面の存在する部分にだけ特異性のある場合を扱うことができるようになる。
次章で述べるように、面電荷や面電流などを扱う際、便利であり、
と記載しよう。
線状デルタ関数と同様に、
が原点を通過する
面内にあるときだけ値を持つ。