S系の原点に静止した
の負電荷、
に、
の静止した正電荷があるとする。
これらの電荷は、これら二点を通る直線に沿って、互いに引き合っている。
正電荷の受ける力を
としよう。
負電荷の受ける力は、いうまでもなく、この符号反転したものとなる。
この力の四元成分を求めておこう。
まず空間成分は質点が静止しているので、これら三成分と一致する。
時間成分は
の関係を用いて計算することができ、四元速度が
より
となる。
これらをS系に対し
の速度で動いているS
系で観測すると、正電荷の
における位置は
として、次のように変換される。
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また、四元力は次のように変換される。
| (755) |
この議論からも分かるように、 ここで扱った力は電磁気力とは限っていない一般的なものである。 つまり、このパラドックスは電磁気学のものではなく、 相対性理論一般のものであることが分かろう。
ここでも同時性の問題が存在する。
そもそも、作用反作用の法則は、両質点が静止している系で、
両質点間に同時に働く力に成立しているのである。
したがって、
静止系での
の二質点の位置を移動系に変換した位置で議論するほうが、
正しそうである。
負電荷の四元座標
を移動系に変換すると、
である。
正電荷の四元座標
を移動系に変換すると、
次のようになる。
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以上のことから、移動している質点間の作用反作用の議論を簡単に行うには、 少なくとも片方が静止している座標で議論すべきであることが理解できよう。
静止時の力として、電場による力を考えよう。
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| (758) |
原点に置かれた運動電荷は、上記に示した電場と磁場を発生する。
電場は原点から放射状に出ているから、
相対論に基づく
方向の圧縮効果はあるものの、
第二の電荷は原点の電荷からの反発力を感じる。
さらに、第二の電荷は、速度
で運動しているから、磁場の影響も受ける。
これによる力は
方向を向く。
つまり、二点を通る直線と離れた方向の力を受ける。
原点の電荷は、その反作用を受けるので、
結果として二つの電荷は偶力を受けることになる。
S系では、回転方向の力はなかったのに、S
系では回転的な力が働く。これは矛盾ではないかというものである。
ところで、S
系で第二の電荷の受ける力は次のように与えられる。
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第二の電荷の受けるローレンツ力
を計算してみよう。
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| (763) |
もともと、ここで述べた力は、 電磁気学的なものに限っていないことを思い起こしてほしい。 静止系において、力が二質点を結ぶ線上に平行であれば、どんな力でもよいのである。 磁場のような速度に対し、垂直に働く力は、電磁場に独特なものと理解されているが、 実はきわめて卑近なものだったのである。 それならば、何故、他の力ではこのようなものが発見されなかったのであろうか。 それは、この効果がきわめて小さいからである。 では何故電磁場では発見できたのであろうか。 それは、電磁場では正負の電荷があり、電場をほとんど相殺して、 磁場の効果だけを観察できる系が簡単に存在するからである。 電流とは、正負の電荷がほぼ相殺し、片方の符号の電荷だけが動く系でさる。 その結果、電場は0であるが、磁場だけが観測できるのである。