next up previous contents index
: 電流の作る磁場 : 電磁場の基本方程式 : 磁石と電流の等価性   目次   索引

静磁場の性質

まず、微小電流ループの作る磁場の発散積分を求めよう。 微小電流ループといってもソレノイドの一種である。 ソレノイドは前述のように発散のない磁場しか作らないから、 発散積分はいかなる場合でも0となる。

$\displaystyle \oint_$$\displaystyle \text Sd\boldsymbol{S}\cdot\boldsymbol{B}=0 %3.16
$ (102)

どんな電流ループも微小電流ループに分解することができることから、 この式はどんな電流ループ、あるいはどんな磁石が作る磁場に対しても、 成立する式である。 この式の左辺は $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{B}$の体積積分となっているので、 体積積分記号を外すとただちに次式が得られる。

$\displaystyle \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{B}=0%3.17
$ (103)

このように、磁場の場は、電場とは逆に、 いたるところ発散の存在しない場である。 つまり、磁力線が連続となることを示している。 磁石でもソレノイドでも、磁極から発生するクーロン磁場の磁力線は、 ソレノイド中の一定磁場の磁力線が補っており、 磁極での不連続性はないように接続されているのである。 これが、電荷の作る電場ともっとも異なる点である。

続いて閉曲面上での回転積分を計算しよう。 クーロン場の回転積分は、静電場の場合に計算したように、常に0となる。 したがって、内部磁場の補正分だけを考えればよい。 これが回転積分に寄与するのは、いうまでもなく、 この補正磁場が閉曲面に絡んでいるときだけである。 つまり、微小電流ループが閉曲面に絡んでいる場合だけを考えればよい。 なお、微小電流ループが完全に閉曲面外にあるとき、 あるいは完全に閉曲面内にあるときには、回転積分は $ \boldsymbol{0}$となる。

図 3.4のように磁石の両磁極とも、あるいは 片側が閉曲面と交差している場合には、回転積分は次のようになる。

$\displaystyle \oint_$$\displaystyle \text Sd\boldsymbol{S}\times\boldsymbol{B}=\mu_0I\int_\text Vd\boldsymbol{r}$ (104)

図 3.4: 微小電流ループと閉曲面の交差。
\begin{figure}\centering
%
\unitlength 1pt
\begin{picture}(135,85)
\put(0,0){\s...
...t(54.5,40.5){\makebox(0,0)[b]{{\footnotesize\rm S}}}
\end{picture}
\end{figure}

証明は次のようである。 その交差領域の面積を$ dS$とすると、回転積分は次のように計算できる。

$\displaystyle \oint_$$\displaystyle \text Sd\boldsymbol{S}\times\boldsymbol{B}= d\boldsymbol{S}\times...
...eta\,\boldsymbol{dl} =\mu_0I\,\boldsymbol{dl}=\mu_0I\int_\text Vd\boldsymbol{r}$ (105)

ただし、$ t$は磁石の厚さである。

最後の等号は分かりづらいかも知れない。 交差領域の一辺 $ \boldsymbol{dl}$を、閉曲面内の電流路に沿った 微小線分ベクトル $ d\boldsymbol{r}$の積み重ねたものにより置き換えている。

微小磁石が完全に閉曲面の外部にある場合には、右辺は明らかに $ \boldsymbol{0}$となり、 前の考察結果と矛盾しない。 また完全に内部にあるときには、右辺の線積分は始点と終点が同じになる 一周積分となるため、やはり $ \boldsymbol{0}$となり、前の考察と矛盾しない。

さらに、ここでは議論を省略するが、微小磁石の片側の磁極のみが閉曲面と 交差するよう場合にも同じ結果が得られる。

図 3.5に示すように、 ある程度広い曲面を囲む閉曲線を考え、この曲面を、小さな領域に分割してみる。 そしてその小さな各領域ごとに、すべて同じ値の周回電流が流れているとしてみよう。 すると、隣接し合う微小ループの境界では、互いに電流が打ち消し合うので、 結局、最外周の電流のみが生き残ることになる。 このことから、大きな電流ループは、 微小電流ループの集合で表現できることが理解できよう。 このことから、大きなループの電流についても、次式が成立する。

$\displaystyle \oint_$$\displaystyle \text Sd\boldsymbol{S}\times\boldsymbol{B}=\mu_0I\int_\text Cd\boldsymbol{r} %3.13
$ (106)

図 3.5: 大きな電流ループの作る磁場は、 微小電流ループの作る磁場の総和で与えられる。
\begin{figure}\centering
%
\unitlength 1pt
\begin{picture}(142,47)
\put(0,0){\s...
...-loop.dps llx=112 lly=719 urx=254 ury=766 rwi=1420}}
\end{picture}
\end{figure}

つまり、磁場の回転積分は、電流のうち、 閉曲面に囲まれた部分を方向も含めて合計したもので与えられる。 これをアンペールの面積分法則(Ampere surface integral law)と呼ぶ。 重ねて述べるが、磁場の回転積分は、 積分を行う閉曲面と電流路が交差するときだけ $ \boldsymbol{0}$でない値を持つが、 電流路全体が閉曲面内に入っている場合や、 全部が閉曲面外に存在する場合は $ \boldsymbol{0}$となる。

ここで、一般の電流分布の代表を何故ループにしたのかという疑問に答えておこう。 それは電流は常に連続でなければならないからである。 どんな電流も必ずぐるっと回って、元の地点に戻ってくるからである。 直線電流はそうなっていないではないかという反論があるかも知れないが、 直線電流は理論上の存在であって、実際に実験しようとすると、 巨大な戻り線を十分遠方に配置することで実現するしかないのである。

さて、前出の式の右辺は、閉曲面内の電流のベクトルとしての総和になっているが、 電流が分布して流れている場合には電流密度 $ \boldsymbol{J}$の体積積分となる。

$\displaystyle \oint_$$\displaystyle \text Sd\boldsymbol{S}\times\boldsymbol{B}=\mu_0\int_\text VdV\,\boldsymbol{J}$ (107)

また、左辺は $ \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits \boldsymbol{B}$の体積積分になっている。 したがって、体積積分記号を外すとただちに、 アンペールの法則の微分形(differential form of Ampere law)と呼ばれる次式が得られる。

$\displaystyle \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits \boldsymbol{B}=\mu_0\,\boldsymbol{J}%3.14
$ (108)

この式から一つ重要な法則を導き出すことができる。 両辺の $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits $をとると、任意のベクトル場の $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits $は0になることから、 次式が導かれる。

$\displaystyle \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{J}=0 %3.15
$ (109)

電流密度ベクトルの $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits $が常に0ということは、 電流が連続であるということを示している。 これを、電流連続の法則(current continuity law)という。

なお、ビオ・サバールの法則で、 $ d\boldsymbol{r}'$の作る磁場から、 アンペールの法則が直接導けないかと予想する読者も多いかと思われる。 残念ながら、電流素片の作る磁場からはアンペールの法則は導けないのである。 例えば、球面での回転積分をその中心に電流素片を置いて実行してみよう。

$\displaystyle \frac{\mu_0I}{4\pi}\int dS\,\frac{\sin\theta}{r^2} =\frac{\mu_0I}...
...{2\pi}r^2 \sin\theta\,d\theta\,d\phi\,\frac{\sin\theta}{r^2} =\frac\pi4\,\mu_0I$ (110)

期待する右辺は$ \mu_0I$であるので、やや少ない値しか得られない。 しかも、電流素片の位置を変えてみると、この係数は値が変わるのである。

点電荷は静電場において、きわめて便利な要素であった。 点電荷が閉曲面の外にあると、発散積分にはまったく影響を与えないからである。 これと比較すると、電流素片はそのような要素になっていない。 例えば、球外に半径方向に置かれた電流素片は、球面上に回転的な磁場を作り出す。 そのため、回転積分が存在するのである。 上の式が期待通りにならないのは、この辺の事情が深く関与している。

ただし、電流素片ではなく、 任意の閉曲線に沿ってこれを積分したものの作る磁場については、 アンペールの法則が導ける。 その導出法については、他書を参考にされたい [*]

電流が分散して流れていないで、 線電流(曲線であってもよい)として流れている場合を考えよう。 式3.24より明らかなように、 電流のないところでは $ \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits \boldsymbol{B}=\boldsymbol{0}$である。 電流のあるところでは、式3.24を微小体積$ \Delta V$に適用し、 両辺を$ \Delta V$で除して $ \Delta V\rightarrow0$とすればよい。 この結果、左辺は $ \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits \boldsymbol{B}$となる。 ところが右辺は、この体積を横切る電流の長さを $ \Delta\boldsymbol{r}'$として、 $ \mu_0I\Delta\boldsymbol{r}'/\Delta V$の極限となる。 その点での電流の方向を向くベクトルになるが、 その大きさは点電荷の場合のような点状デルタ関数とはならない。 詳細の誘導は省くが、 $ \Delta\boldsymbol{r}'$に垂直な方向にだけ大きな変動をする線状デルタ関数となっており、 その平面内で積分すれば1となる。 ただし、以後、あまり使わないので、この説明に止める。

大事なことは、線電流の存在しているところだけが特異であり、 その他の部分では、静電場と同じように、 $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits $ $ \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits $も0な素直な場であるということである。 この場合も、ほぼ水の流れのようであるが、 湧き出しも吸い込みもない流れである。 その代わりに、線電流の場所が、 水であれば渦糸(vortex filament)と呼ばれる渦の中心となった流れを構成する。 水の渦糸は、多くの場合、きわめて細い空洞になっており、その空洞に近いほど、 水は高速で流れている。 ただし、水の場合には、渦が弱くなってくると、この空洞が崩れてくる。 これは、水は理想的な非圧縮、非粘性な流体でないことから生じている。 電磁気学では、この空洞の部分が線電流に置き換わっており、 しかも、それが崩れて、独立した渦となって存在するようなことはない。

回転の伝統的な表現であるアンペールの線積分法則を、 微小電流ループに対して求めてみよう。 これも、微小電流ループの優位さを示すことになるのだが、 微小電流ループが閉曲線に絡んでいるときだけ、内積線積分に寄与がある。 まず、前章で述べたように、 微小電流ループの両極の磁荷が発生するクーロン場の線積分は0である。 したがって、磁石内部の一様な補正磁場だけが議論の対象となる。 つまり、微小電流ループが閉曲線と絡まないときには、積分に寄与しない。

ここでも、微小電流ループは十分薄いとし、 両磁極が閉曲線と交わる場合だけを検討する。 ここでは議論を省略するが、仮に電流路の一部だけが交わる場合も結果は同じになる。 まずクーロン場は回転がないので、線積分には効いてこない。 このため、磁極間の一様磁場の積分だけを行えばよい。 また微小電流ループは十分小さいので、積分路はほとんど直線に見えるとして、 計算を行う。

$\displaystyle \oint_$$\displaystyle \text Sd\boldsymbol{r}\cdot\boldsymbol{B}= d\boldsymbol{r}\cdot \boldsymbol{B}=\frac t{\sin\theta}\,\mu_0K\sin\theta=\mu_0I$ (111)

大きな電流ループの場合も、それを構成している微小磁石のうち、 閉曲線と交差しているものだけが線積分に寄与するので、 $ I$は閉曲線を通過する全電流として、上と同じ結果が得られる。 これがアンペールの線積分法則(Ampere line integral law)である。

$\displaystyle \oint_$$\displaystyle \text Cd\boldsymbol{r}\cdot\boldsymbol{B}=\mu_0I$ (112)

同じ法則を別の方法で求めることもできる。 式3.24で表されるアンペールの法則の微分形を、 任意の閉曲線Cで囲まれた曲面上Sで、内積の面積分をしてみよう。

$\displaystyle \int_$$\displaystyle \text Sd\boldsymbol{S}\cdot\mathop\emph{\text{rot}}\nolimits \boldsymbol{B} =\mu_0\int_\text Sd\boldsymbol{S}\cdot\boldsymbol{J} %3.18
$ (113)

左辺は、ストークスの定理により、 $ \boldsymbol {B}$の閉曲線上の線積分に置き換えることができ、 同じアンペールの線積分法則が得られる。

$\displaystyle \oint_$$\displaystyle \text Cd\boldsymbol{r}\cdot\boldsymbol{B} =\mu_0\int_\text Sd\boldsymbol{S}\cdot\boldsymbol{J}=\mu_0I %3.19
$ (114)

アンペールの面積分法則もアンペールの線積分法則も、 単にアンペールの法則(Ampere law)と呼ぶが、多くの書では特に後者を指すことが多い。 本書でも、単にアンペールの法則といった場合は、 この式3.30を指すこととする。 なお、閉曲線で囲まれた面を通過する電流をしばしば、 閉曲線に鎖交(cross-link)する電流と呼ぶ。 また、逆に、電流ループを通過する磁束も鎖交すると呼ぶ。 コイルのように、何回も巻線があると、鎖交は巻数倍になるので、注意してほしい。

教育法
ややしつこくなるが、本稿の目的の一つは、 磁場の導入教育を変更できないかということにもあるので、 私の提案している教育法をまとめておこう。
  1. 電流と磁場の関係の基本を、ビオ・サバールの法則にするよりも、 磁極のクーロンの法則にしたほうが分かりやすい。 ただし、磁石とソレノイドの等価性を利用し、 磁石の内部に一様磁場があることを、きちんと教える。
  2. こうすると、磁場の面積分は常に0となることがすぐに誘導でき、 磁場の発散が0であることが示される。
  3. 回転に関しては、外積面積分でも、線積分でも、クーロン場は寄与せず、 一様磁場の部分だけを計算すればよいので、簡単に計算できる。 著者は、 $ \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits $との対応がよく、 電場のガウスの定理との相似性が高い外積面積分のほうを、 最初に教えるべきと思っている。

磁場の場合の指力線を、特に磁力線(line of magnetic force)という。 磁力線は $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits $が0であるため、発生も消滅もなく、全領域で連続であるが、 渦糸の位置との関連は薄い。 渦糸との関係が深いのは、指力線に直交する面である。 これには特に名前が付けられていないが、本書では、力垂直面(perpendicular surface to force)と呼ぼう。 電気力線の場合には、等ポテンシャル面(equi-potential surface)と呼ばれる。 磁場の場合には、スカラー的なポテンシャルが定義できないので、 等ポテンシャル面なるものはないので、まさに指力線に直交する力垂直面となる。

指力線に垂直な面も、原理的には無数に作成することができるが、 通常はその間隔が、ベクトル場の強さに反比例するように間引いて記載する。 $ \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits $のないところでは、力垂直面を連続的な曲面として並べることにより、 あらゆる点で、その間隔がベクトル場の強さに反比例するようにすることができる。

二枚の力垂直面を二本の指力線で結び、 この指力線と二つの面を通る任意の閉曲線を考える。 これにアンペールの線積分の定理を適用すると、積分結果が0の場合、 面の間隔とベクトル場の強さの積は一定となることが、簡単に証明できる。 これより、力垂直面の密度はベクトル場の強さと比例することが分かる。

この結果、力垂直面を見ることにより、 それが集中するところに渦糸が存在することが理解できよう。

アンペールの面積分法則の応用として、 これからビオ・サバールの法則(Biot-Savart law)を導き出してみよう。 本節の最初に述べたように、電流素片だけではなく、 素片の先端から湧き出す電流と終端へ吸い込まれる電流の全体が作る磁場を、 計算してみる。

準備として、放射状電流の放射点を原点とし、 $ z$軸から$ \theta$だけ離れたところに円があるとして、 その円が、全放射状電流のどれだけと鎖交するかを求めておこう。 原点を中心にし、この円を通る球を考え、その球が取り囲む球面積を、 全球面積で割ってやればよい。 球の半径を$ r$とすると、この面積は次のようにして求められる。

$\displaystyle \left.\int_0^\theta d\theta\ 2\pi\sin\theta\,r^2 =-2\pi\cos\theta\,r^2\right\vert _0^\theta =2\pi(1-\cos\theta)\,r^2 %3.20
$ (115)

この結果を利用して、$ z$のところにある半径$ \rho$の円に、 放射状電流がどれだけ鎖交するかを求めると、 $ z>0$$ z<0$のそれぞれに対し、次のようになる。

$\displaystyle I\,\frac{1-\cos\theta}2$ $\displaystyle =$ $\displaystyle I\left(\frac12-\frac z
{2\sqrt{\rho^2+z^2}}\right)$ (116)
$\displaystyle -I\,\frac{1-\cos\theta}2$ $\displaystyle =$ $\displaystyle -I\left(\frac12+\frac z
{2\sqrt{\rho^2+z^2}}\right)
%3.21
$ (117)

電流素片の方向を$ z$軸とする。 $ z$軸の任意の点を通り、それに直角な面で、 軸から半径$ \rho$のごく薄い円板を置き、その円板の表面で面積分を実行する。 電流が$ z$軸に対称であることから、磁場は$ z$軸を中心にした円に沿うように、 かつ、電流に対し右ネジの関係の方向に、半径と高さで決まる一定値をとる。 円板の上下面での積分は外積が中心方向を向くことから、すべて相殺し、 側面の積分だけが生き残る。 その値は、円板の厚さ$ t$が十分薄い場合には磁場と側面積の積となり、 $ 2\pi\rho Bt$である。

図 3.6: 閉曲線と鎖交する放射状電流は立体角で計算できる。
\begin{figure}\centering
%
\unitlength 1pt
\begin{picture}(108,130)
\put(0,0){\...
...ut(54.0,124.0){\makebox(0,0)[b]{{\footnotesize$z$}}}
\end{picture}
\end{figure}

一方体積中の電流のベクトル的総和は$ z$軸方向を向くので、 電流の$ z$成分の総和をとる、つまり、 この円周に鎖交する電流と厚みの積をとればよいが、 これは円板の位置によって異なる。 囲みの結果を利用して、図 3.6のように、 $ z=L/2$に発散電流の放射点、$ z=-L/2$に発散電流の集束点があって、 それらの間に電流素片がある場合に、円に鎖交する総電流を求めると、 $ z$が両放射点より上、または下になっているときには、 放射状発散電流と放射状集束電流のみの鎖交量を求めればよいし、間にある場合には、 それに加え、電流素片との鎖交量を考える必要がある。

$ z>L/2$の場合には

$\displaystyle I\left(\frac12-\frac{(z-L/2)}{2\sqrt{\rho^2+(z-L/2)^2}}\right) -I\left(\frac12-\frac{z+L/2}{2\sqrt{\rho^2+(z+L/2)^2}}\right) \\ $    

$ L/2>z>-L/2$の場合には

$\displaystyle -I\left(\frac12+\frac{(z-L/2)}{2\sqrt{\rho^2+(z-L/2)^2}}\right) -I\left(\frac12-\frac{z+L/2}{2\sqrt{\rho^2+(z+L/2)^2}}\right)+I \\ $    

$ z<-L/2$の場合には

$\displaystyle -I\left(\frac12+\frac{(z-L/2)}{2\sqrt{\rho^2+(z-L/2)^2}}\right) +I\left(\frac12+\frac{z+L/2}{2\sqrt{\rho^2+(z+L/2)^2}}\right) \\ $    

さて、$ L$$ z$$ \rho$に対し十分小さいとして、以下のように近似する。

$\displaystyle \frac1{\sqrt{\rho^2+(z-L/2)^2}}=\frac1r+\frac{zL}{\,2r^3} %3.23
$ (118)

その結果は、いたるところ同じ形となる。

$\displaystyle IL\left(\frac 1{2r}-\frac{z^2}{2r^3}\right) =\frac{IL\sin^2\theta}{2r} %3.24
$ (119)

この式を$ \mu_0t$倍し、円板の側面積 $ 2\pi\rho t=2\pi r\sin\theta
t$で割ると、ビオ・サバールの法則の磁場が得られる。

$\displaystyle B=\frac{\mu_0}{4\pi}\frac{IL\sin\theta}{r^2} %3.25
$ (120)

ビオ・サバールの法則とは、 この磁場を電流素片だけが作っていると見なしたものである。

同様の結果は、アンペールの線積分法則からも得ることができる。 その場合には円板の周辺の位置に積分路を置けばよい。 磁場は積分路に鎖交する電流を積分路の長さで割り、 さらに$ \mu_0$倍すればよいから、結果は上記の計算とまったく同じになる。


next up previous contents index
: 電流の作る磁場 : 電磁場の基本方程式 : 磁石と電流の等価性   目次   索引
Yoichi OKABE 平成21年7月3日