先にも述べたように、ベクトルポテンシャルの決定にはかなりの自由度がある。
これは、Aの選び方に、divを自由に決めてよいという
大きな自由度があるからである。
実際、
は、つぎのような方法により、自由に
変更することができる。
上式のように置いてみよう。
これより、
は
と同じ磁場を与える
別のベクトルポテンシャルとなっている。
一方、
は、変更されていることがわかる。
したがって、
の右辺に
の補正量を置いた
ポアソンの式を解くことにより、
を求め、それを用いて、
を希望の値に変更することができる。
なお、
の
をいじることには多少の問題がある。
それは、動的な場合、電場にも
の影響があるので、電場が
変動してしまい具合が悪い。
そこで、この場合は
とともに
も同時に
変更するように約束しておけば、つじつまが合うことになる。
ベクトルポテンシャルの
に関する自由度を利用すると、前節最後の
二式を簡単にすることができる。
こうした
の選び方を変えることをゲージ(gauge)という。
もともと、ゲージとは物差という意味である。
物の長さには物差の当て方でその値が変わることはないという普遍性を
持っている。
物理学の世界では、このように見方を変えることをゲージ変換(gauge transformation)、
見方を変えても値の変わらないことをゲージ不変性(gauge invariance)などという。
ベクトルポテンシャルに
を、スカラーポテンシャルに
を同時に与えることは、
ゲージ変換であり、また、その結果、電場も磁場も変化しないことが、
ゲージ不変性である。