定常電流はとぎれることなく流れ、完全なループを構成する。 しかし、キャパシタへ流れ込む電流は極板から先へ流れていく道がなく、 ループを構成しない。 この場合、電荷はどんどん充電されていくので、一定ではなくなる。 こうした電荷や電流が変化する場合を、静的(static)に対し、動的(dynamic)と呼ぶ。 この例にあげたような動的な場合には、電流は不連続になることがあるのである。 すると困ることが発生する。 式3.30に示したアンペールの線積分の法則で、 閉曲線Cを決めると左辺は一義に決まるのに、 右辺の面積分はSの選び方で変化してしまうことになる。 例えばSがキャパシタの極板間を通過する場合、 磁場が存在しても右辺は0になってしまうのである。
そこでアンペールの法則に何らかの訂正が必要となる。 マクスウェルの考えたのは次のような補正である。 それは不連続な電流に補正項を加え、連続にしようというものであり、電流と 電荷の関係を使う。 閉曲面から流れ出る電流の総和は、その内部の電荷の減少を引き起こす。
右辺の
を、ガウスの法則
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を用い、
の面積分に変更すると、次式が得られる。
この式の微分形は動的な場合の電流連続の法則(current continuity law)と呼ぶ。
変位電流を加えたときのアンペールの面積分法則(Ampere surface integral law)の積分形は 次のようになる。
つまり、閉曲面に沿った回転積分は、
閉曲面に囲まれた体積内の電流と変位電流の総和になるという定理である。
のほうは変わらないので、
磁場は大部分のところで発散も回転もない場であり、
電流と変位電流の存在するところでのみ、回転のみが存在する。
左辺を内積面積分の定理により
の体積積分に
変えると、次式が得られる。
積分記号をはずすと、アンペールの法則の微分形(differential form of Ampere law)が得られる。
以上、電場の時間変化が磁場に及ぼす影響を示したが、磁場が時間変化すると 電磁誘導に関するファラデーの法則(Faraday law)により、電場が発生する。 この場合電場の閉曲線に沿う積分は磁束の時間変化に比例する。 そこで、線積分型の回転積分で表すと、次のように補正する必要がある。
ストークスの定理
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を利用して、
上式を微分形に変形すると、次のようになる。
以上のように、動的な電場は、発散も回転もありうる場ということになる。 一見、面倒なようであるが、次のように考えると、それほど複雑でもなくなる。 電場は大部分のところでは、発散も回転もないが、 電荷があると、発散を起こす源となり、磁場の変化があると、回転を起こす源となる。 磁場も大部分のところでは、発散も回転もないが、 電流があると、回転を起こす源となり、電場の変化があっても、回転を起こす源となる。 多くの、典型的な事例では、これら四つの要因は分離できることが多いので、 このような考え方は、電磁気学の理解にとって、きわめて有用である。
ここまでに、基本方程式として、積分形と微分形の両方を示したが、
改めて微分形を示しておこう。
以下の微分形は、マクスウェルが定式化したため、
まとめて呼ぶときにはマクスウェル方程式(Maxwell equations)という。
以上述べたマクスウェル方程式にローレンツ力(Lorentz force)の式を加えたものが、
電磁気学の基本方程式である。
なお、電流連続の法則は、
式を時間で微分したものと、
式の
をとったものから
を消去し、
さらに
が0になることを利用すると、
ただちに得られるため、基本方程式には含めないこととする。