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静電場

一次元の世界では、電荷は$ yz$面内で一様である。 このため、単位電荷に代わるものとして、 きわめて薄い$ yz$面に拡がったシート状の面電荷を考える。 これの作る電場は次式で与えられる。

$\displaystyle \boldsymbol{E}={\boldsymbol{i}}\frac1{2\varepsilon_0} \begin{cases}\sigma & x>0 \\ -\sigma & x<0 \end{cases}$ (145)

$ \boldsymbol{i}$$ x$軸方向の単位ベクトル、また$ \sigma$は面電荷密度である。

この式より、電荷の作る電場は、電荷の存在する場所では不連続となるが、 その他のあらゆる領域で一定となる。 今、二枚の$ yz$平面で囲まれた領域を考えよう。 この領域内に電荷が存在しないと、電場はこの領域内で一定となるため、 左右の平面で同じ値をとる。 しかし、この領域内に電荷が存在すると、 上式より左右の平面における電場には差が生じてくる。 この差は次式で与えられる。

$\displaystyle E_x(x_r)-E_x(x_l)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac1{\varepsilon_0}\sigma$ (146)
$\displaystyle E_y(x_r)-E_y(x_l)$ $\displaystyle =$ 0 (147)
$\displaystyle E_z(x_r)-E_z(x_l)$ $\displaystyle =$ 0 (148)

あるいはベクトルを用いて格好よく書けば、
$\displaystyle \boldsymbol{i}\cdot(\boldsymbol{E}(x_r)-\boldsymbol{E}(x_l))$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac1{\varepsilon_0}\sigma$ (149)
$\displaystyle \boldsymbol{i}\times(\boldsymbol{E}(x_r)-\boldsymbol{E}(x_l))$ $\displaystyle =$ 0 (150)

この上式4.5は、 面電荷が複数ある場合には、次のように変形できる。

$\displaystyle \boldsymbol{i}\cdot(\boldsymbol{E}(x_r)-\boldsymbol{E}(x_l))=\frac1{\varepsilon_0}\sum_i\sigma_i$ (151)

右辺は、この領域内に存在するすべての電荷を加えた総電荷となる。 さらに、面電荷が分布して存在するときには、次式のようになる。

$\displaystyle \boldsymbol{i}\cdot(\boldsymbol{E}(x_r)-\boldsymbol{E}(x_l)) =\frac1{\varepsilon_0}\int_l^rdx\,\rho$ (152)

積分範囲のLはこの領域内を指す。 いずれにせよ、領域両端の電場ベクトルの差は、領域内の総電荷で決まるのである。

4.8は、 $ xy$方向に$ dS$の断面積を有する十分小さい柱状でも成立する。 式4.8の両辺に$ dS$を掛け、 さらに $ d\boldsymbol{S}$を領域から外へ向うベクトルと定義すると、 右端では $ \boldsymbol{i}dS=d\boldsymbol{S}$、左端では $ -\boldsymbol{i}dS=d\boldsymbol{S}$と書けるので、 この式は次のように変形できる。

$\displaystyle \sum_{i=l,r}d\boldsymbol{S}_i\cdot\boldsymbol{E}_i =\frac1{\varepsilon_0}\int_$$\displaystyle \text VdS\,dx\rho$ (153)

この式と三次元における式3.4は、 極めて相関性が高いことが分ろう。 一次元の場合、 $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits $はベクトルの$ x$成分の差分になることを理解して欲しい。

同様に、式4.6も次のように変形することができる。

$\displaystyle \sum_id\boldsymbol{S}_i\times\boldsymbol{E}_i=0$ (154)

この式と三次元における式3.10との相関性もよく理解できよう。 一次元の場合、 $ \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits $はベクトルの$ yz$成分の差分になることを理解して欲しい。

つまり、電磁気学を学ぶ上での最初の障壁である面積分は、 一次元における領域両端における差を一般化したものである。 三次元になると、領域端が平面ではなくなり、 一般的には閉曲面になってしまうこと、また、 そこでは電場 $ \boldsymbol{E}$が一定ではなく、 色々変化するので複雑な表現になるのである。

4.8$ \Delta x$の厚さの微小領域に適用してみよう。 $ x_l=x$ $ x_r=x+\Delta x$とすると、 この領域中の$ \rho$をほぼ一定であるとして、次式が得られる。

$\displaystyle \boldsymbol{i}\cdot(\boldsymbol{E}(x+\Delta x)-\boldsymbol{E}(x)) =\frac1{\varepsilon_0}\Delta x\,\rho$ (155)

辺々を$ \Delta x$で割って $ \Delta x\rightarrow0$とすると、次式が得られる。

$\displaystyle \boldsymbol{i}\cdot\D{\boldsymbol{E}}x=\D{E_x}x=\frac\rho{\varepsilon_0}$ (156)

これが、 三次元の場合のマクスウェルの $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{E}$式に対応することは明かであろう。

同様に、式4.6を狭い領域に適用すると、次式が得られる。

$\displaystyle \boldsymbol{i}\times\D{\boldsymbol{E}}x=-\boldsymbol{j}\D{E_z}x+\boldsymbol{k}\D{E_y}x=0$ (157)

これが、三次元の場合のマクスウェルの $ \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits \boldsymbol{E}$式の静的な場合に対応することも明かであろう。


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Yoichi OKABE 平成21年7月3日