next up previous contents index
Next: ベクトルポテンシャルは実在する場か Up: 磁場とベクトルポテンシャル Previous: ソレノイド   Contents   Index

微小電流ループ

微小電流ループ(micro current loop)の作る磁場も、ベクトルポテンシャルを用いると、 簡単に計算することができる。 ループは平面的ではあるが、その形状は任意としよう。 簡単化のために、ループは $ xy$ 平面内の原点付近にあるものとする。 流れている電流を $ I$ とし、まず、電流の $ x$ 成分に着目する。 すると電流と x 軸の角度を $ \theta$ とするとき、 $ I\cos\theta$ となる。 この分布は、前節と同様に、ループに囲まれた形状を持つ正負の一様帯電板を、 僅かにずらしたもので実現することができる。 面電荷密度を $ \sigma$ とし、負の帯電板を $ +y$ 方向に $ \delta $ ずらすと、大部分の領域では正負が中和するが、$ +y$ 方向の縁には負電荷が、また $ -y$ 方向の縁には正電荷がはみ出す。 $ \delta $ が十分小さければ、そのはみ出し量は正しく $ \sigma\delta\cos\theta$ となり、 $ \sigma\delta$$ I$ に対応させればよいことがわかる。 このことから $ -y$ 方向に分極した双極子が、 面状に並んでいるとみなすことができる。 まず、原点に置かれた双極子の作る電位を求める。

$\displaystyle \phi=\frac Q{4\pi\varepsilon_0}\left(\frac1{\sqrt{x^2+y^2+z^2}} -...
...qrt{x^2+(y-\delta)^2+z^2}}\right) =-\frac{Q\delta}{4\pi\varepsilon_0}\,\frac yr$ (5.14)

この値は、十分遠方から見ると、 双極子の位置が僅かにずれてもほとんど変わらない。 そこで、これが面状に並んだ場合は、この $ Q$ を単に合計し、 $ \sigma S$ に替えればよい。 これから、微小ループの大きさに対し十分遠方での $ A_x$ を求めることができる。 同様に$ A_y$ も得られる。

$\displaystyle A_x$ $\displaystyle =$ $\displaystyle -\frac{\mu_0IS}{4\pi}\,\frac yr$  
$\displaystyle A_y$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac{\mu_0IS}{4\pi}\,\frac xr$ (5.15)

この場合も、電流がループ状に流れているため、 ベクトルポテンシャルもループ状になっている。 なお、遠方でのベクトルポテンシャルが電流とループの面積だけで与えられ、 ループの形状に依存しないことは興味深い結果である。


next up previous contents index
Next: ベクトルポテンシャルは実在する場か Up: 磁場とベクトルポテンシャル Previous: ソレノイド   Contents   Index
Yoichi OKABE 2008-03-29