電荷に働く力は、クーロン力で簡単で理解できるが、電流に働く力は簡単ではない。 一つは電流は分布しているので、これをどう扱うかを議論しなければならない。 また、もう一つの問題点は、電流が実は保存量ではないことである。
最初の問題であるが、電流に働く力は、ローレンツ力より次式で与えられる。
![]() |
(6.5) |
そこで、磁石の受ける力の計算などに便利な変形を試みよう。 まず微小電流ループに働く力を求めよう。 式2.60を利用して上式を変形すると、次式が得られる。
![]() |
(6.6) |
一方、磁石に働く力を計算する方法として、磁荷
による方法がある。
磁荷モデルのときに、各磁荷に働く力は
で与えらえるから、
![]() |
(6.7) |
![]() |
(6.8) |
これら二つの力は等しそうであるが、実は若干異なる。
これら二つの差をとってみよう。
![]() |
|||
![]() |
|||
| (6.9) |
| (6.10) |
は、磁場を形成している電流のないところでは 0 なので、
両者は一致する。
しかし、力を検出する微小磁石の傍に、
磁場を形成している電流や変位電流が流れていると両者は等しくなくなる。
現在、磁石の根源は電流であることが分っているので、
磁荷モデルはこの時点で、問題を生じる。
6.1つまり、電流や磁石に働く力を磁荷モデルで計算した場合には、
を加える必要があることになる。
次の問題であるが、電荷は保存量であり、 電場やこの系を取り囲む諸条件が変化してもその値は変らない。 電荷量を変えようとするときには、電荷を運ぶ際、 電場から受ける仕事を考慮しなければならなくなる。 ところが、電流は保存されない。 例えば、永久磁石にかかっている外部磁場を変化すると、 磁化電流の値は変化するのである。
例えば、抵抗0の電流ループに永久電流を流しておく。 ここに外部から磁場を与えると、磁場の値が変化するから、 ファラデーの電磁誘導の法則にしたがって、コイルに沿った電場が誘起される。 しかし、もし電場が存在すると、 抵抗0であるコイルには無限大の電流が流れることになる。 実際には、こうしたことが起きないが、 それはコイルに流れる電流が適切に変化することにより、 コイルに鎖交する総磁束を変化させないようにするのである。
つまり、保存されるのは電流ではなく、コイルに鎖交する総磁束なのである。 この事実は、エネルギーの増減から力を求めるようなときに重要な意味を持ってくる。 例えば二つのコイルを同軸にして、話しておいた場合、 両者に同じ向きの電流を流すと、N極とS極が引き合うので、 互いに引力を及ぼし合うのであう。 もし電流が保存されると考えると、コイル間の距離を拡げたときに、 コイル内の磁場は弱くなるので、総磁場エネルギーは減少する。 力は、エネルギーの少なくなる方向に働くから、 斥力が働くという誤った結果が誘導される。 一方磁束が保存されると考えると、コイル間の距離を拡げたときに、 コイルの間の体積が増えただけ、総磁場エネルギーは増大する。 したがって、引力が働くという正しい結果が得られる。 ちょっと分りづらい場合には、両コイルを貫く磁性体があって、 磁力線は、ほとんど磁性体内に存在すると仮定することにより、 上記描像がよりハッキリすると思う。