運動している分布電荷に働くローレンツ力(Lorentz force)は次式で与えられる。
| (6.11) |
この右辺
と
を電磁場により書き換えてみよう。
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(6.12) |
左辺は、分布電荷の持つ単位体積当りの運動量
の増加率であるので、
以下のように書くことができる。
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(6.15) |
この式の両辺をある体積で体積積分すると、次式が得られる。
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(6.16) |
まず静的な場合を考えよう。
応力というと苦手な人が多いかとも思うが、要は、
空間に小さな直方体を切り取ったときに、
面に働く力が
になると理解すればよい。
例えば
が正のときは引張力、負のときには圧縮力に定義される。
それにしても
の要素が複雑である。
こうしたときには、この行列の固有値問題を解いて、主軸変換するとよい。
まず磁場のない電場のみの場合のテンソルを主軸変換してみよう。
すると、主軸はEの方向にあり、
その方向の固有値は
となる。
また、第2、第3の主軸はこれと直交しており、その方向の固有値は縮退していて、
となる。
これから、
Eの方向に垂直の面は
の引張力を受け、
それと垂直ないずれの方向の面も
の圧縮力を受けることがわかる。
この理由により、電気力線はその方向に縮もうとし、
その垂直方向に膨らもうという力を出すと言われる。
電気力線は、電荷を始点や終点にするから、電荷に働く力は、 電気力線の引張力で説明できることになる。 例えば、正電荷が負電荷に引かれる様子は、 負電荷側の電気力線の密度が高いことから、視覚的に理解できる。
電場のない磁場のみの場合のテンソルを主軸変換すると、電場の場合と同様に、
Bの方向に垂直の面は
の引張力を受け、
それと垂直ないずれの方向の面も
の圧縮力を受けることがわかる。
この理由により、磁力線もその方向に縮もうとし、
その垂直方向に膨らもうという力を出すと言われる。
磁力線は電流を囲むように生成されるから、電流に働く力は、 磁力線に垂直な圧縮力で説明できることになる。 例えば、同方向に流れる電流同士が互いに引かれる様子は、 これらが作る磁力線が電流の線の間で疎であり、外部で密であることから、 視覚的に理解できる。
電場も磁場もあるときの主軸変換は、きれいな形にはならない。 しかし静的な場合には、電荷は電気力線としか関わらず、 電流は磁力線としか関わらないので、それぞれ独立な応力により理解できる。
次に、動的な場合を考察しよう。 この場合には、gの時間微分が効いてくるため、 電荷や電流に働く力はマクスウェルの応力だけでは説明できなくなる。
積分形の体積を極めて巨大にしていくと、 遠方では場が弱くなっていくため、その表面積分である応力の項は消えていくだろう。 残った項は、力と電磁場の運動量の時間微分に関るものである。 通常は、力の体積積分は、作用反作用の関係で0になることが期待できるが、 そうはなっていない。 つまり、作用反作用の関係は成立しないのである。 その差は、gの時間微分により説明できるのである。
力の時間積分は運動量である。 このためgは電磁場の運動量と呼ばれるのである。 この作用反作用の不成立に関して、 電磁気学では極めて多くのパラドックスが提示されている。 そのすべてが、この電磁場の運動量を考慮することにより、 理解できることを知っていて欲しい。
物質がある場合、つまり誘電体も磁性体も存在する系でも、
、Jが全電荷、全電流とすれば、以上の議論はまったく変らない。
というのは、誘電体や磁性体の受ける力は、
その中に現われる分極電荷や磁化電流などの受ける力によるからである。
自由電荷や自由電流だけを抽出して同様な計算を行うと、
誘電体などの力が含まれないため、
静的な場合ですら、作用反作用の原理が成立しなくなってしまう。
全電荷、全電流に対して得られる上記の式を使えば、
逆にマクスウェルの応力を介して、電場や磁場の分布から、
誘電体や磁性体に働く力を計算することも可能である。
例えば、誘電体の表面に分極電荷が誘起されていると、
が不連続になることが知られているが、この結果、
なる力が誘電体表面に働くことが誘導できる。
なお、平行平板コンデンサの中に誘電体が引き込まれる効果を説明するのに、
電気力線の横方向の圧力の結果であると記載した書が多く見られるが、
それは誤りである。
この誘電体の先端付近での圧力は
であり、
誘電体の内外では異ならないためである。
自由電荷のみに働く応力を求めると、
となるため、
こうした勘違いが発生したものと思われるが、
11の章で解説するように、誘電体が引き込まれるのは、
エッジ効果による。