next up previous contents index
: クーロンゲージ : ポテンシャル : 動的な場のポテンシャル   目次   索引

ゲージ

先にも述べたように、ベクトルポテンシャルの決定にはかなりの自由度がある。 これは、 $ \boldsymbol{A}$の選び方に、 その $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits $を自由に決めてよいという大きな自由度があるからである。 実際、 $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{A}$は、次のような方法により、自由に 変更することができる。

$ \boldsymbol{A}'$を次式のように定義してみよう。

$\displaystyle \boldsymbol{A}'=\boldsymbol{A}+\mathop\emph{\text{grad}}\nolimits \chi$ (249)

両辺の回転をとると、 $ \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits (\mathop\emph{\text{grad}}\nolimits \chi)=0$だから、

$\displaystyle \mathop\emph{\text{rot}}\nolimits \boldsymbol{A}'=\mathop\emph{\text{rot}}\nolimits \boldsymbol{A}$ (250)

これより、 $ \boldsymbol{A}'$ $ \boldsymbol{A}$と同じ磁場を与える 別のベクトルポテンシャルとなっている。 しかし、 $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{A}'$は前とは同じ値にはならない。

$\displaystyle \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{A}'=\mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{A}+\mathop{\emph ▽}\nolimits ^2\chi$ (251)

したがって、 $ \mathop\emph{\text{div}}\nolimits \boldsymbol{A}'$は、$ \chi$の選び方により、 自由に変更できることになる。

$ \chi$を与えると、動的な場合、電場にも$ \chi$の影響があるので、 電場のほうのつじつまも合わせなければならない。 そこで、 $ \boldsymbol{A}$とともに$ \phi $も同時に変更するように約束しておけば、 つじつまが合うことになる。 具体的には$ \phi'$を次にように変更すればよい。

$\displaystyle \phi'=\phi-\D\chi t$ (252)

このように、$ \chi$に関する自由度を利用すると、 前節最後の二式を簡単にすることができる。 こうした$ \chi$の選び方を変えることをゲージ(gauge)という。 もともと、ゲージとは物差という意味である。 物の長さには物差のあて方でその値が変わることはないという普遍性を 持っている。 物理学の世界では、このように見方を変えることをゲージ変換(gauge transformation)、 見方を変えても値の変わらないことをゲージ不変性(gauge invariance)などという。 ベクトルポテンシャルに $ \mathop\emph{\text{grad}}\nolimits \chi$を、 スカラーポテンシャルに $ -\partial\chi/ \partial t$を同時に与えることは、 ゲージ変換であり、また、その結果、電場も磁場も変化しないことが、 ゲージ不変性である。




next up previous contents index
: クーロンゲージ : ポテンシャル : 動的な場のポテンシャル   目次   索引
Yoichi OKABE 平成21年7月3日