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$ \delta $関数励振の解

$ \sigma$$ V$、および JA を結び付ける ポテンシャルの波動方程式(wave equation of potentials)から、容易に動的電磁場に対応する界を 得ることができる。 まずスカラーポテンシャルを導き出そう。 静電場の場合に、点電荷の作るポテンシャルを基礎としたように、 動的電磁場では、時間とともに値の変化する点電荷の作るポテンシャルを 考える。 分布した電荷の作り出すポテンシャルは、これらの重ね合わせで 求めることができる。

まず、原点に $ Q(t)$ で変化する点電荷が存在したとしよう。 これが作り出すポテンシャルは、当然、球対称となる。 つまり、 $ \phi(r, t)$ で表される。 このときラプラシアンも $ r$ だけで表されるはずである。 $ r=\sqrt{x^2+y^2+z^2}$ であるから、$ x$, $ y$, $ z$ の微分は次のように $ r$ の微分に置き換えられる。

$\displaystyle \D\phi x=\D\phi r\frac{dr}{dx}=\frac x r\D\phi r$ (7.15)

$\displaystyle \D{^2\phi}{x^2}=\D{} x\left(\frac x r\D\phi r\right) =\frac{r-x(x/r)}{r^2}\D\phi r +\left(\frac x r\right)^2\D{^2\phi}{r^2}$ (7.16)

$\displaystyle \mathop{\emph ▽}\nolimits ^2\phi=\frac2 r\D\phi r+\D{^2\phi}{r^2} =\frac1 r\D{^2(r\phi)}{r^2}$ (7.17)

したがって、スカラーポテンシャルの波動方程式は次のように与えられる。 ここで、$ r=0$ 以外の部分では $ \rho=0$ を考慮し右辺は 0 とした。

$\displaystyle \frac1 r\D{^2(r\phi)}{r^2}-\frac1{c^2}\D{^2\phi}{t^2}=0$ (7.18)

$\displaystyle \D{^2(r\phi)}{r^2}-\frac1{c^2}\D{^2(r\phi)}{t^2}=0$ (7.19)

この式を見てみると、$ r\phi$ に対する一次元の波動方程式になっている。 この解はよく知られているように $ t\pm r/c$ の任意の関数の合成で 与えられる。

$\displaystyle r\phi=f(t-\frac rc)+g(t+\frac rc)$ (7.20)

この式を前式に代入してみると、確かに波動方程式を満すことは直ぐに 検証できよう。 逆に、波動方程式のいかなる解もこの式で表現できることが知られているが、 それを示すのは余り容易ではない。 それについては、微分方程式の一般的な書物に譲ることとしたい。 上式より、直ちに次式が得られる。

$\displaystyle \phi=\frac{f(t-r/c)}r+\frac{g(t+r/c)}r$ (7.21)

$ f$ は中心から外向きへ出ていく進行波、$ g$ は逆に中心に向って 入ってくる後退波である。 両方の波が存在すると仮定しても、何も物理的には 問題のないことはわかっているが、原因となる電荷が中心にあるので、すべての 波動は中心から外向きに伝播していくと考える方がわかりやすい。 そこで多くの場合、$ f$ のみを採用する。 我々もその形で、以後の議論を進めよう。 しかし、くれぐれも強調しておくが、$ g$ を含めても、何も矛盾する 解とはならない。 単に考えずらいだけである。

上記の解を見てみると、静電場と同じような $ 1/r$ の距離依存性を 持っていることがわかる。 また、現象が中心から光速で外向きに伝播していくのがわかる。 $ r=0$ 付近の解は、電荷の時間変動にほとんど遅延なく 追従するはずであるから、$ Q(t)$ の作る静電場に一致するはずである。 このことから次のような解が予想できる。

$\displaystyle \phi=\frac1{4\pi\varepsilon_0}\frac{Q(t-r/c)}r$ (7.22)

これが動的に変化する点電荷の作るスカラーポテンシャルである。 つまり、クーロンポテンシャルと同じ形ではあるが、光速の伝播時間だけ遅れた ポテンシャルを感じるのである。

電荷が分布して存在するときは、この式から容易に想像できるように、この解を 重ね合わせればよい。

$\displaystyle \phi(r,t)=\frac1{4\pi\varepsilon_0} \int dV'\,\frac{\rho(r',t-\vert\emph r-\emph r'\vert/c)} {\vert\emph r-\emph r'\vert}$ (7.23)

ベクトルポテンシャルについても、まったく同様の手法を 適用することができる。 この場合は、$ \emph J_x$$ \emph A_x$ を、$ \emph J_y$$ \emph A_y$ を、$ \emph J_z$$ \emph A_z$ を同じ原理で 作り出す。 したがって、上記の二式に対応して、次の二式を得る。

$\displaystyle \emph{dA}=\frac{\mu_0}{4\pi}\frac{I(t-r/c)\,\emph{dr}}r \\ $ (7.24)

$\displaystyle \emph A(r,t)=\frac{\mu_0}{4\pi}\int dV'\,\frac{\Vec J (r',t-\vert\emph r-\emph r'\vert/c)}{\vert\emph r-\emph r'\vert}$ (7.25)

これらの式を利用すれば、時々刻々の電荷分布と電流分布が 完全にわかっていれば、時々刻々のスカラーおよびベクトルポテンシャルが 決定できる。


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Yoichi OKABE 2008-03-29