next up previous contents index
: 直線電流 : 磁場とベクトルポテンシャル : 磁場とベクトルポテンシャル   目次   索引

静電場との相似性

前章でも述べたように、電荷密度$ \rho$はスカラーポテンシャルを作る。

$\displaystyle \phi=\frac1{4\pi\varepsilon_0}\int_{\text V}dV\,\frac\rho r$ (278)

面電荷(surface charge)の場合は面積分、線電荷(line charge)の場合は線積分、 点電荷(point charge)の場合はよく知られた積分のない $ Q/4\pi\varepsilon_0r
$の形になることはいうまでもないであろう。

同様に電流が源となってベクトルポテンシャルが発生するが、 その様子は電荷がスカラーポテンシャルを発生するのときわめて似ている。 事実、ベクトルポテンシャルの式を三つの成分に分けると、 それぞれの式はスカラーポテンシャルの式と同じ形をしている。 唯一異なるのは $ 1/\varepsilon_0$$ \mu_0$になっていること、 また、源が単位体積当たりの電荷密度の代わりに単位面積当たりの 電流密度(current density)になっていることである。 このことから、 源が電流密度の場合は、それを電荷密度だと思って静電場の解を求め、 その解の定数を変換すればよい。

この類推から、電流密度 $ \boldsymbol{J}$の作る ベクトルポテンシャル(vector potential)を求めることができる。

$\displaystyle \boldsymbol{A}=\frac{\mu_0}{4\pi}\int_{\text V}dV\,\frac{\boldsymbol{J}}r$ (279)

つまり、クーロン型ポテンシャル(Coulomb type potential)となっている。 また、電荷のときと同じように、面電流(surface current)の場合は面積分、 線電流(line current)の場合は線積分で与えられる。

上式から分かるように、微小電流の作るベクトルポテンシャルは、電流の方向と 同じ向きを向き、距離とともに減衰する場である。 この基本的な概念をよく掴んでいると、電流分布からベクトルポテンシャルの 概略の分布が推定できるようになるので、以下の例で慣れていただきたい。

なお、上記積分をするというのがベクトルポテンシャルの原理的な 計算法であるが、これから示すいくつかの問題のように、対称性のよい場合は、 静電場の計算のように、ガウスの定理を利用するのが便利なことが多い。


next up previous contents index
: 直線電流 : 磁場とベクトルポテンシャル : 磁場とベクトルポテンシャル   目次   索引
Yoichi OKABE 平成21年7月3日