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点電荷の発生

均質な導体を考えよう。 この場合、次式が成立する。

$\displaystyle \emph J=\sigma\emph E$ (7.26)

この式の $ \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \cdot}\nolimits $ をとり、左辺の $ \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \cdot}\nolimits \emph J$$ -d\rho/dt$ で置き換える。 また、右辺の $ \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \cdot}\nolimits \emph E$ をガウスの法則の微分形を用いて $ \rho/\varepsilon_0$ で置き換えて、まとめ直すと次式が得らえる。

$\displaystyle \frac{d\rho}{dt}+\frac\sigma{\varepsilon_0}\rho=0$ (7.27)

この方程式を解くと、電荷はいたるところで次のように 減衰していくことがわかる。

$\displaystyle \rho=\rho(0)\ e^{-\sigma t/\varepsilon_0}$ (7.28)

大変不思議なことに、電荷が伝わっていくような様子が見えず、その場で 減衰していくかに見える。 実は電荷は、電荷の多いところから少いところへ逃げていくのであるが、 少いところの電荷ももっと少いところへ逃げていくので、全体が 減衰していくのである。 ただし、 $ \sigma/\varepsilon_0$ が一様だと同じ形状を保って 減衰していくのは大変面白い結果である。 このような現象を誘電緩和(dielectric relaxation)と呼ぶ。

ところで、誘電緩和は明かに動的な動作にも関わらず、 光速というものがまったく表われてこない。 これは不思議な現象である。 例えば、最初に電荷を配置するとき、電荷を配置したという情報は光速でしか 伝わらないはずである。 この辺の正確な議論をするには、正に前節で述べた動的な解析が 必要となるのである。 この解答は直には得られないが、順を追って次節より説明を進めて行こう。 7.1

まず、原点に $ t=0$ で突然 $ Q_0$ の電荷が現れ、その後変化しない場合を 取り扱おう。 突然と言っても、過渡的な部分の解析もしたいので、$ \tau$ の 時間がかかったとし、 $ 0\leq t\leq\tau$ $ Q(t)=Q_0t/\tau$ とする。 電荷だけが存在するので $ \emph A=0$ となり、$ \phi$ のみを 計算すればよい。

電荷はクーロン場を発生するが、各観測点で感じるポテンシャルは、$ t<r/c$ ではまだ何も感じないし、それより $ \tau$ の間は電荷の立ち上がりを 感じ、さらにそれ以後では定常的なクーロン場を感じることになる。

$\displaystyle \phi=\frac{Q_0}{4\pi\varepsilon_0}\times\left\{ \begin{array}{ll}...
...r }r/c\leq t\leq r/c+\tau \\ 1/r &\mbox{for }r/c+\tau\leq t \end{array} \right.$ (7.29)

同じ式を条件部分のみ書き直すと、時刻 $ t$ でスナップショットを 撮ったときのポテンシャルの空間分布という形で表現できる。 原点近くでは定常的なクーロン場を感じ、やや遠方では電荷の立ち上がりを 感じ、$ ct<r$ の遠方ではまだ電荷発生のことが伝わっていない。

$\displaystyle \phi=\frac{Q_0}{4\pi\varepsilon_0}\times\left\{ \begin{array}{ll}...
...)/c\tau &\mbox{spherical shell} \\ 0 &\mbox{outside sphere} \end{array} \right.$ (7.30)

ただし、条件を厳密に式で表わすと、次のようになっている。

\begin{displaymath}\begin{array}{ll} \mbox{inside sphere:} &r\leq c(t-\tau) \\ \...
...u)\leq r\leq ct \\ \mbox{outside sphere:} &ct\leq r \end{array}\end{displaymath} (7.31)

これと $ \emph A=0$ を組み合わせると、上式第 2 行の 遷移時間のところで、ローレンツ条件を満していない。 それは、そもそも電荷だけが突然あるところに出現することはなく、必ずそれに 対応する電流が流れていなければならず、それが作るベクトルポテンシャルを 無視しているからである。 これについては次節以後に述べる。



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Yoichi OKABE 2008-03-29