無限長のソレノイド(solenoid)を考えよう。 ソレノイドは内部に軸方向の磁場が発生するが、外部には磁場がないのが 特徴である。 しかし、ベクトルポテンシャルは外部にも存在し、それがゆえに外部のみに 存在する超伝導体や量子力学的な荷電粒子の運動に影響を及ぼすという、 ベクトルポテンシャルの有用性を示すもっともよい例となっている。
軸方向に長軸を持つ半径
の無限長円筒を考える。
また、その表面を面電流が
軸右ネジ方向に回転して流れている。
単位長当たりの面電流密度を
とする。
まず、電流の各成分を求めてみよう。
方向の成分は
方向で最大,
方向で負方向に最大となる。
つまり、
軸からの偏角を
とすると、面電流密度の
成分は
となる。
同様に
成分は
となる。
ベクトルポテンシャルの
成分は以上に示した
方向に正、
方向に負に帯電した円筒の作る電位に対応する。
線電荷の作る電位は前節に述べたようにlogで与えられるから、
これに
の重みを付けて積分すればよい訳であるが、
この積分はかなり面倒である。
そこで、ここではガウスの定理を利用する。
図 7.2に見られるように、まず、正に一様に帯電した円柱と、
負に一様に帯電した円柱を考える。
これら二つの円柱の軸をぴったり重ね合わせると、
何も電荷がないのと同じことになるが、負の円柱を
方向にほんの少しずらすと、
方向に負電荷が、また
方向に正電荷が少しはみ出す。
ずれがきわめて僅かであると、このはみ出した電荷の分布は
となる。
一様帯電した円柱の作る電位は、 ガウスの定理を利用して簡単に計算することができる。 例えば、正に帯電した円柱の作る円柱の内部と外部の電位は次式で与えられる。
この結果を利用して正負両円柱の作るポテンシャルを計算する。
観測点の座標を
とし、負円柱のずれ量を
とする。
円柱の内部および外部の電位は次式のようになる。
同様に、
方向にずれた正負の一様帯電円柱から次式が得られる。
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図 7.3に概形を示すように、ベクトルポテンシャルはやはり、 電流と平行するように発生し、かつ電流から遠ざかると減衰していくという 一般的性質を持っている。 また、ソレノイドの外部にもベクトルポテンシャルが存在することを 記憶しておいてほしい。
上記の結果を利用し、
により、
磁場を計算してみると、よく知られた結果が得られる。
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興味深いのはソレノイドの外部にはベクトルポテンシャルがあっても、 磁場はまったくないことである。 これについては、後に改めて考察する。