next up previous contents index
Next: 超伝導回路の解析 Up: 超伝導体とポテンシャル Previous: 超伝導インダクタンス   Contents   Index

フラクソイドの量子化

超伝導は巨視的量子効果によって、多数の電子を持ちながら一つの量子状態に 陥るため Bohr の量子条件のような磁束 (厳密にはフラクソイド) の 量子化現象が発生する。

一つの量子状態なので $ \Psi({\rm r})$ のように記述することができる。 しかも電荷密度は中性条件から $ n$ とほぼ固定になっているので、 $ \Psi(
{\rm r})=\sqrt n\exp(i\theta({\rm r}))$ と記載することができる。 そこで $ p=-i\hbar\mathop{\emph ▽}\nolimits $ なる演算子をこれに施すと、 $ \hbar\mathop{\emph ▽}\nolimits
\theta\sqrt n\exp(i\theta({\rm r}))=\hbar\mathop{\emph ▽}\nolimits \theta\Psi({\rm
r})$ となる。 つまり $ p=\hbar\mathop{\emph ▽}\nolimits \theta $ としてよい。 例えばルー プ状の超伝導体を辿って一周すると、位相 $ \theta$ は 矛盾してはいけないから $ \theta$ の変化は $ 2\pi$ の整数倍に 限られることになる。 これより

$\displaystyle \int\emph{dr}\cdot\emph p=2n\pi\hbar=nh$ (8.33)

が導かれる。 なお、この式の最後の等号以後は $ \hbar$ の替りに $ h/2\pi$ を 用いることとする。 $ q{\rm grad}V=d\emph p/dt$ より、 $ \int dt\Delta V=\int\emph{dr}
\cdot\emph p/q$ である。 この電圧の時間積分を フラクソイド(fluxoid) $ \Phi$ と呼ぼう。

$\displaystyle \Phi=\int dt V$ (8.34)

これより、上式は次のように置き換えられる。

$\displaystyle \Delta\Phi=\frac1q\int\emph{dr}\cdot\emph p =\frac h{2\pi q}\Delta\theta$ (8.35)

ここで、 $ \Delta\Phi$ $ \Delta\theta$ は、線積分路の終点と 始点における差である。 これより

$\displaystyle \Delta\Phi = n\frac hq = n\Phi_0$ (8.36)

である。 言うまでもなく $ \Phi_0=h/q$ である。 超伝導体中では電子二個がクーパーペアを作っているので $ \Phi_0=h/2e=
2\times10^{-12}$Wb である。 これを磁束量子(flux quantum)という。 英語を見るとフラクソイド量子であるが、日本語では磁束量子と呼んでいる。

もし、フラクソイドの概念を使うならば、前節最後の式は次のように 書くことができる。

$\displaystyle \Delta\Phi=\frac{M}{nq^2}\int\emph{dr}\cdot\emph J +\int\emph{dr}\cdot\emph A$ (8.37)

この線積分を閉ループに対して行なえば

$\displaystyle n\Phi_0 = \frac{M}{nq^2}\int\emph{dr}\cdot\emph J + \Phi_m$ (8.38)

左辺は量子化を示している。 また、第二項はベクトルポテンシャルの線積分が、ループを鎖交する磁束 $ \Phi_m$ になっていることを利用している。 例えば、第二項が支配的な場合には、鎖交磁束が磁束量子の整数倍になる。 これが真の意味での磁束の量子化である。 また、第一項が支配的な場合には、Bohr の量子条件と呼ばれる力学的運動量の 量子条件が得られる。 一般にはフラクソイドの量子化となる。


next up previous contents index
Next: 超伝導回路の解析 Up: 超伝導体とポテンシャル Previous: 超伝導インダクタンス   Contents   Index
Yoichi OKABE 2008-03-29