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超伝導回路の解析

普通の回路では、キルヒホフの電流則(Kirchhoff current law) (Kh-$ I$) と キルヒホフの電圧則(Kirchhoff voltage law) (Kh-$ V$) が基本にある。 これらは分岐点での電流の総和が 0 になることと、ループに沿った電位差の 総和が 0 になることで表わされる。

$\displaystyle \mbox{Kh-$I$:}$$\displaystyle \hspace{1cm} \sum I_i=0$   (分岐点) (8.39)

$\displaystyle \mbox{Kh-$V$:}$$\displaystyle \hspace{1cm} \sum V_i=0$   (ループ) (8.40)

超伝導回路でも、これらの法則は当然成立するが、超伝導体がループを 作っていると、フラクソイドが一定に保たれるという性質がある。 しかも、その一定値は磁束量子の整数倍になる。 より厳密に言うと、超伝導体およびジョセフソン素子のフラクソイド(fluxoid) の総和が量子化される。

電圧を時間積分したものはフラクソイドであるので、要するに Kh-$ V$ 則を 時間積分したキルヒホフのフラクソイド則(Kirchhoff fluxoid law)が成立する。

$\displaystyle \mbox{Kh-$\Phi$:}$$\displaystyle \hspace{1cm} \sum\Phi_i = n\Phi_0$   (ループ) (8.41)

この式を時間微分すると Kh-$ V$ 則となるので、普通の回路理論と 矛盾している訳ではない。 なお、電荷のない通常の超伝導体回路の世界では $ \mathop{\emph ▽}\nolimits ^2V=0$ が成立するので、この式より、フラクソイドについても、次式が成立する。

$\displaystyle \mathop{\emph ▽}\nolimits ^2\Phi=0$ (8.42)

この式は $ \emph p=m\emph v+e\emph A$ の両辺の div をとっても 証明できる。 右辺第一項は divJ に比例するが、これは電流連続の式より 0 となる。 右辺第二項は divA に比例するが、これははて...

こうした回路を解析するには、通常の回路解析の電位をフラクソイドに置き換え るだけでよい。 次に回路内に適当な数の電源を置く必要がある。 そうでないと、すべてが 0 になってしまうからである。 これら電源から見たインピーダンスや相互インピーダンスを求めることになる。 解くべき変数は、ループの電流、または分岐点のフラクソイドのいずれを 選ぶかがある。

ループ電流を変数に選んだ場合、変数の数はループ数 $ l$ となる。 これにより、各枝の電流が決定できるので、各枝のインピーダンス (の時間積分) を利用して、各枝のフラクソイド差が求められるが、これらには Kh-$ \Phi$則が成立しなければいけない。 ループ数の条件があるので、条件数と変数の数が一致し、問題は 解けることになる。 なお、ループ電流を変数とする限り、Kh-$ I$則は自動的に満される。

分岐点フラクソイド (電位の時間積分値) を変数に選んだ場合、変数の数は 分岐点数 $ n$ となる。 これにより、各枝の両端のフラクソイド差が決定されるので、各枝の インピーダンス (の時間積分) を利用して、各枝の電流が求められる。 各分岐点で Kh-$ I$則が成立していなければならないので、$ n$ 個の条件が 存在することになり、やはり一義に解くことができる。 超伝導インピーダンスを計算するには、この方法が適している。

各枝の電流やフラクソイドを変数にすることも可能であるが、一般に、変数の 数が多くなり、実用的ではない。


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Yoichi OKABE 2008-03-29