キャパシタに電荷を溜めていく過程を考えよう。
キャパシタを充電するには、負極側より正電荷を取り出し、正極側に運ぶ必要がある。
ところが、充電が進んでくると、正極側は負極側に対し電位が上がってくるため、
この電位差に逆らって、電荷を運ぶのにエネルギーを要するようになってくる。
電位差が
のときに
の電荷を運ぶには、
のエネルギーを使う必要がある。
キャパシタンスを
とすると、
が成立するので、
だけの電荷を充電するために外部が使うエネルギー
は次式のようになる。
この外部が使ったエネルギーは、充電後に電極間を開放にしておくと、 そのままキャパシタに蓄えられている。 そのことは、後に、例えば両極の間を抵抗で結ぶと、 放電に伴って、同量のジュール熱が発生するなどすることから理解できる。 これを電気エネルギー(electric energy)と呼ぶ。 静電エネルギー(electro-static energy)と呼ぶ場合も多いが、 8.6節で説明するように、 動的な場合の電場によるエネルギーも同じ形になるので、 あえて、電気エネルギーとする。
図 8.3に示すように、
途中
の深さまで誘電体の挿入された平行平板キャパシタを考えてみよう。
このキャパシタンスを
とすると、
この電気エネルギーは
である。
この誘電体が横向きに受ける力は、
を変化させたときにどのくらい
が変化するかから求めることができる。
もし
を増加させたときにエネルギー
が下がれば、
誘電体は吸い込まれるような力を受けることになるので、力は次式で得られる。
この場合、
は誘電体の挿入量
が大きいほど大きな値をとるので、
その位置による微分は正である。
したがって
となり、誘電体は引き込まれるという結論になる。
なお、誘電体の厚さが、極板間の距離
にほぼ等しいときの
は、
次式で与えられる。
| (322) |
間違えやすい誘導法として、
constとする計算法である。
もし、どうしても
constの条件で、
を利用して力を計算したい場合には、
定電圧電源の行う仕事を補正すればよい。
定電圧電源は
の仕事をするので、
を
constの条件で微分すればよい。
なお、式8.11は、当然、 一様な誘電体で満たされた平行平板キャパシタにも適用できる。
この違いはどこに起因するのかをきちんとしておくべきであろう。
式8.11のエネルギーの計算式の積分要素を見てみよう。
見やすいように、
と書き直してある。
また
と記載して、電位が全電荷で決定されていることを明示してある。
| (327) |
純粋に電磁気的エネルギーを計算する場合には、 式8.17が正しいが、 誘電体の関わる系の力を計算する際は、多くの場合、 分極に必要なエネルギーを一々意識するのは大変なので、 これが自動的に含まれる式8.16、 つまり電気エネルギーの通常の定義を利用するのが得策である。
なお、8.6節で、それなりの正当性を示すが、
を誘電体(または間の真空)全体が持つエネルギーと解釈する立場がある。
となると、誘電体の単位体積当たりのエネルギーが定義できることになる。