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導体内でのポテンシャル

まず、通常の導体中の電場、磁場を考えよう。 導体中では、前章でも述べたように次式が成立する。

$\displaystyle \emph J=\sigma\emph E$ (9.1)

この式を電流連続の法則(current continuity law)の式へ代入しよう。

$\displaystyle \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \cdot}\nolimits \emph J+\D\rho...
...its \cdot}\nolimits \emph E+\D\rho t =\frac\sigma{\varepsilon_0}\rho+\D\rho t=0$ (9.2)

これは、誘電緩和(dielectric relaxation)の式である。 したがって、十分時間が経つと、$ \rho=0$ としてよい。 つまり、電荷は導体の表面だけに存在するとしてよい。 $ \sigma$ が十分大きいと、 また $ \emph J=\sigma\emph E$ の関係から、 有限の $ \emph J$ を達成するためには $ \emph E$ は限りなく小さくなる。

導体は $ \sigma$ の非常に大きな材料であるから、 この誘電緩和は一瞬にして起ることとなる。 また、$ \emph J$ が有限になるためには $ \emph E$ がほとんど 0 でなければならなくなる。 逆に、$ \emph E=0$ を仮定すると、まず、 $ \varepsilon_0\mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \cdot}\nolimits \emph E=\rho$ より、導体の内部では

$\displaystyle \rho=0$ (9.3)

が得られる。 この結果は誘電緩和の最終値と同じ結論である。 さらに電磁誘導の式 $ \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \times}\nolimits \emph E=-\partial\emph B/\partial t$ の左辺が 0 となるから次式が得られる。

$\displaystyle \D{\emph B}t=0$ (9.4)

つまり、磁場が時間変動しないという磁場凍結(freezing of magnetic field)の原理が導かれる。 さらに、マクスウェルの第 4 式を時間微分したものに $ \emph E$$ \emph B$ の条件を代入することにより、 $ \partial\emph J/\partial t=0$ が誘導できる。 なお、超伝導体中では $ \emph B=0$ が成立したが、 これは超伝導体が単なる抵抗 0 の導体ではないことを示している。

さて、時間変動する場に対しては $ \partial/\partial t\rightarrow
j\omega$ と置くことができる。 この場合、ほぼ直流に近い周波数の成分についても $ \emph B=0$ が誘導できる。 この状態を、特に準静的(quasi-static (adj.))と呼ぶ。 以上の結果から、電荷は導体表面にだけしか存在しないことがわかった。 また、準静的な場合には、電流も導体表面にだけしか存在しない。 以後、準静的な条件で議論する。


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Yoichi OKABE 2008-03-29