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導体と平行な電流素片の作る静的なベクトルテンシャル

無限平面の導体のそばに電流素片を置いた場合を考えよう。 まず、電流素片を $ xy$ 平面に平行に $ x$ 方向に置いた場合を扱おう。 当然、この電流素片は $ x$ 成分しか持たないから、$ A_x$ しか発生しない。 しかも、電流素片の位置に + 成分があるだけなので、 点電荷が作るスカラーポテンシャルのように、$ 1/r$ に比例する。

$\displaystyle A_x=\frac{\mu_0I\,ds}{4\pi}\frac1r =\frac{\mu_0I\,ds}{4\pi}\frac1{\sqrt{x^2+y^2+(z-a)^2}}$ (9.18)

導体上の誘導電流(induced current)は $ x$ 方向のものだけで十分であるので、 領域で $ A_y=0$$ A_z=0$ であろう。 したがって、導体内では $ \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \times}\nolimits \emph A=0$ の条件より、 $ A_x$$ x$ のみの関数で、さらに $ \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \cdot}\nolimits \emph A=0$ より $ A_x=$const でなければならない。 導体中で $ A_x=0$ としても特に問題がないので、 今後、そのようにする。

このようにすると、前節のスカラーポテンシャルと同様な扱いで、 空間側のベクトルポテンシャルを次のように求めることができる。

$\displaystyle A_x=\frac{\mu_0I\,ds}{4\pi}\left(\frac1{\sqrt{x^2+y^2+(z-a)^2}} -\frac1{\sqrt{x^2+y^2+(z+a)^2}}\right)$ (9.19)

これから磁場を計算すると、次のようになる。

$\displaystyle \emph B=\frac{\mu_0I\,ds}{4\pi}\left( \frac{(0, a-z, y)}{\sqrt{x^2+y^2+(z-a)^2}^3} +\frac{(0, z+a, -y)}{\sqrt{x^2+y^2+(z+a)^2}^3}\right)$ (9.20)

誘導電荷密度は $ \partial A_x/\partial z$ の変化量からも、 導体付近の磁場からも計算することができ、次のようになる。

$\displaystyle K_x=-\frac{I\,ds}{4\pi}\frac2{\sqrt{x^2+y^2+a^2}}$ (9.21)

この場合も、空間側のポテンシャルと磁場は、元の電流素片の鏡像の位置に、 逆向きの電流素片を置いたときの重ね合わせの場となっている。 つまり、鏡像法が有効である。


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Yoichi OKABE 2008-03-29